松重豊が『劇映画 孤独のグルメ』の監督になった理由
シリーズ初の映画化となる『劇映画 孤独のグルメ』(1月10日公開)で、監督・脚本・主演を務める松重豊。なぜ本作で松重自らがメガホンを取ることになったのか? 【画像】映画版に加わるキャスト陣 2012年よりスタートした「孤独のグルメ」シリーズは、現在シーズン10まで制作されたほか「大晦日スペシャル」や「それぞれの孤独のグルメ」なども放送され、グルメドラマの金字塔として不動の地位を確立している。映画化の企画が動き出したのは、シリーズ10周年の節目の年となる2022年。シリーズの今後を見据え、松重自身が映画化に向けて動き出した。
監督については、本シリーズが韓国でも人気であることから、松重が以前から親交のあった名匠ポン・ジュノ監督に手紙を書いて打診するも、スケジュールが合わず断念した。ほかにも黒沢清、瀬々敬久、三池崇史らベテラン監督の名前も挙がったが、松重は「日本映画のシステムで長いことつくってきた座組にお願いすると、10年にわたって『孤独のグルメ』をつくってきたスタッフが飲み込まれてしまわないだろうか、それならば僕が真ん中に入って映画畑の技師さんたちとテレビのスタッフ陣の橋渡しをしてはどうか」と考えたという。そこで、ふと「いっそのこと自分が監督するのはどうだろ」と思い立ったのが始まりだった。
本作が映画初監督となる松重は、映画のシノプシス(あらすじ)を書いてスタッフたちの感触を確認した。「こういう映画にしようと思っているんだけど、みんなどう思う? 僕が監督やるつもりだけど』と聞いてみたところ、好反応が返ってきまして」と経緯を明かした。そこから松重豊の映画初監督の道が始まったわけだが、主演俳優としてシリーズを愛し最もよく知る人物が、監督さらには脚本まで担当することは、ある意味必然であり最良の策といえるだろう。
『劇映画 孤独のグルメ』は、日本だけでなくフランスや韓国を舞台に、五郎の“究極のスープ探し”の旅が描かれる。内田有紀、磯村勇斗、塩見三省、杏、オダギリジョーと、かつてドラマ版に登場した滝山役・村田雄浩らも出演する。(今井優)