トークン化は不可避
トークン化の登場で、金融市場は変革期を迎えている。この動きは、単なるテック愛好家の間での投機的トレンドではなく、資産の管理・取引方法におけるグローバルな根本的シフトだ。 現実資産(RWA)のトークン化は、単なる新しいトレンドではなく、資産運用の新時代へのステージを整えつつある。 暗号資産(仮想通貨)ネイティブトークンと、トークン化されたRWAを区別することは極めて重要だ。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような暗号資産ネイティブトークンは、純粋にデジタルであり、投機的投資、価値の保存手段、独自のエコシステム内でのユーティリティの役割を果たす。 一方、トークン化されたRWAは、デジタルと伝統的金融の世界の架け橋となり、流動性と小口化を効果的に実現し、以前は「流動性が低かった」資産へのアクセスを改善する。
進むトークン化
3月20日の世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)初のトークン化ファンドであるプライベート短期国債ファンド「BUIDL」のローンチは、トークン化にとって重要なマイルストーンとなった。 BUIDLは最初の1カ月で約3億ドル(約465億円、1ドル155円換算)を集めただけでなく、ブラックロックが、トークン化は「市場の次世代」となると考えていることを示している。 トークン化された国債は、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)が発行するBENJI、ブラックロックのBUIDL、そして昨年1月以来10倍の急成長を遂げたオンド・ファイナンス(Ondo Finance)のUSDYなどにより、すでに12億ドル規模のカテゴリーとなっている。 現在、オンチェーンRWAは75億ドルの市場規模となっている。伝統的な方法で運用されている数十兆ドル相当の資産と比べると、小さなものに思えるかもしれないが、成長ペースとトークン化される資産の範囲の拡大(国債、コモディティ、プライベート・エクイティ、不動産、プライベート・クレジットなど)は、我々が転換点にあることを示している。 2022年のボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)のレポートによると、トークン化資産市場は2030年までに16兆ドルにまで成長する可能性があると試算されている。このような資産に対応するDeFiプロトコルは、レンディング、流動性プール、先物・デリバティブなどに広がる新しい金融エコシステムを生み出す可能性が大きい。 何兆ドルもの新たな富がオンチェーンで生み出されている。参加しているのは、自分のウォレットから金融商品やサービスにアクセスし、やり取りすることを望む新しい投資家層だ。こうした暗号資産ネイティブの投資家は、伝統的金融に存在するゲートキーパーやウォールドガーデン、営業時間よりも、参入障壁が低くて24時間365日運営されているエコシステムから恩恵を受けており、ときには伝統的市場をリードすることさえある。 Xユーザーの@kaledoraが分析した最近の例によると、4月13日土曜日、イランとイスラエルの間で地政学的緊張が高まるなか、トークン化された金(ゴールド)であるPAXGは、4月12日の終値に対して20%上昇し、取引高は14日の日曜日にピークに達した。その後は米東部時間午後5時にオープンした金市場と同じ動きを見せており、伝統的市場の中心価値である資産の安全性という基本原則がデジタル資産にも当てはまることを示した。