「ゴジラ-1.0」 が米アカデミー賞・視覚効果賞 低予算でなぜハリウッドを超えた?【WBS】
アメリカ映画界で最高の栄誉とされるアカデミー賞の授賞式が、日本時間11日(現地時間10日)に行われ、日本の2作品が受賞しました。特に、これまでアメリカの大作映画が独占してきた特殊映像を競う「視覚効果賞」には、山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」が、アジア映画として初めての受賞となりました。受賞の背景には何があったのでしょうか? 【動画】「ゴジラ」山崎貴監督が凱旋会見 「ここを出発点にさらに挑戦」 日本時間11日午前8時半。「千と千尋の神隠し」以来21年ぶり2度目の長編アニメーション賞の受賞となったのは、宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」です。 「(宮﨑監督に)連絡したところ心の底から喜んでいた。『おめでとうございます』と言ったら『お互いさまです』と言っていた」(「スタジオジブリ」の鈴木敏夫プロデューサー) さらに「ゴジラ-1.0」がアジア映画として初めて視覚効果賞を受賞。ゴジラのテーマ曲が流れる中、山崎貴監督たちが、アカデミー賞授賞式の壇上に上がり、喜びを語りました。 「ゴジラ-1.0」の映画の舞台は、戦後の日本。焦土と化した東京を襲うゴジラに、元特攻隊員が立ち向かう様子を独自のVFX(視覚効果)を駆使して描かれています。 今回のアカデミー賞で作品賞や監督賞など7部門を受賞し、原爆の誕生と戦争を描いた「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督も、テレビ東京の単独インタビューで、ゴジラを「戦後という複雑なテーマを題材にしつつ、人を夢中にさせるエンターテインメントに仕上げた素晴らしい作品だ」と絶賛していました。 「ゴジラ-1.0」が受賞した視覚効果賞。 過去の受賞作を見ると「スター・ウォーズ」や「ジュラシック・パーク」「アバター」など、ハリウッドの大作映画がほぼ独占しています。視覚効果の技術には多額の予算が必要で、日本はこの分野で”10年遅れている”と言われてきました。今回なぜ受賞できたのでしょうか。
長年、山崎監督と二人三脚でVFX技術を進化させてきた「白組」のVFXデザイナー・渋谷紀世子さんは、「いかにカットごとに飾り替えをして、何カットも同じ場所で何度も撮って、違う場所に見せる。飾り替えをしていくことを考えた」と話します。 戦艦の出航を見送る場面ですが、実際のセットは、船べりだけ。銀座の街をゴジラが襲う大迫力のシーンでも、組み立てたセットはごくわずかです。 数少ないセットで撮り方を変えて、様々なシーンを撮影し、少ない予算でも撮影を実現しました。 またハリウッドでは、機械で動かす飛行機も、人力で動かしたのです。 このような取り組みで、製作費は他のノミネート作品に比べて10分の1以下。わずか35人のVFXアーティストで610のカットの大部分で使用されたVFXを作り、創意工夫でハリウッドの大作映画を凌駕したことになります。