永野芽郁、奈緒、二階堂ふみら人気女優たちが奮闘中!2024冬ドラマ「悲喜こもごもの舞台ウラ」
「冬ドラマは放映開始日がバラつくこともあって、視聴習慣がつきにくく、視聴率がパッとしない傾向があります。今クールはどのドラマも低い滑り出しですね」(ドラマウォッチャーの川田美尋氏) 【画像】美人すぎる…!佐々木希『アイのない恋人たち』撮影オフショット…! そんななか、唯一の二ケタをマークするなど、世帯&コア視聴率(13~49歳男女の数字)二冠に輝いたのはTBSの看板枠である日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』だ。 「アカデミー賞俳優の西島秀俊(52)が主演。彼が『きのう何食べた?』シリーズのシロさん役を大事にしているように、今作でも″普通の男性の心情″の表現を大事にしているのがうかがえます。天才マエストロながら、一人の男性としてダメなところを愛らしく、イキイキと演じている。くるくると変わる西島の表情が大きな魅力になっている」(川田氏) 芦田愛菜(19)、西田敏行(76)、石田ゆり子(54)ら豪華キャストが脇を固めるのも日曜劇場ならでは、だ。 「今クールの作品に総じて言えるのは、キャスティングが地味だということ。『さよならマエストロ』以外は、主人公とヒロイン以下のキャストのパンチが弱い」(ドラマウォッチャーの北川昌弘氏) TVerのお気に入り登録者数で1位に輝いた『新空港占拠』(日本テレビ系)も、主演の櫻井翔(42)以外は″おとなしめのキャスト″が並ぶ。 「ネットで観られる作品と、テレビで観られる作品とに、だんだんと差が出てきているのが見て取れます。『新空港占拠』はテレビと同時にネット配信されており、お気に入り登録者数は『さよならマエストロ』の倍近いですから。誰に作品を届けるのか、意向を取り入れるべき相手はスポンサーなのか、ネットフリックスなどの発注者なのかでドラマの作り方は変わってくる」(キー局プロデューサー) 『新空港占拠』にあって、『さよならマエストロ』にないもの。それは「バラエティ要素」だと、ライター・大山くまお氏は見ている。 「前作の『大病院占拠』と同様、櫻井のアクションの酷さをカバーするのが、謎解きバラエティの要素です。毎話暴かれる登場人物の犯罪、『獣』と名乗る犯人グループの正体――これが若者を掴んでいるということでしょう。それは全体2位というコア視聴率の高さにも表れている」 視聴率的には苦戦しているものの、フジテレビの看板枠「月9」の『君が心をくれたから』は、TVerお気に入り登録者数2位に入った。 「あまりにも暗すぎます。虐待されて育ったため自己肯定感と成功体験が皆無なヒロイン・永野芽郁(めい)(24)が、障害のせいで夢を諦め、交通事故で死んでしまった恋人・山田裕貴(33)を救うために五感をひとつずつ奪われていく――という話を連続ドラマで見るのは厳しく感じてしまいます」(大山氏) とウォッチャー諸氏の評価は厳しいのだが、テレビマンたちは総じて好意的だ。 「月9はあくまでラブストーリー路線で行く、という気概を感じた。ドラマ枠を増やし、若者の視聴者を増やしているフジの旗艦ドラマとしての位置づけなのでしょう」(民放編成担当) テレビ朝日は、深夜帯ながらTVerお気に入り登録者数3位に入った『おっさんずラブ-リターンズ-』を、社を挙げて盛り上げているという。 「第4話にゲスト出演したディーン・フジオカ(43)が『いまだにドッキリなんじゃないかと思っている』と言っていましたけど(笑)、局内も次のゲストは誰なのかで盛り上がっています。Xのトレンドで世界一になったり、キャストさんの撮影合間のオフショットがプリントされた『みんなで最後までがんばるます弁当』が配られたり、この盛り上がりは久しぶりですね」(テレ朝局員) ◆「旧ジャニーズへの拒否感情」 テレビマンたちは、テレ朝の戦略にも一目置いている。 「経費節減&若い視聴者獲得のために若手ばかりキャスティングした結果、一番テレビを見ている層に響かない作品だらけになっている。その点、テレ朝は高齢者向けに世帯視聴率が取れる医療ミステリー『グレイトギフト』、展覧会やコラボカフェ、グッズ販売で放送外収入が望める『おっさんずラブ』、『なにわ男子』の道枝駿佑(しゅんすけ)(21)でティーンを狙いにいった『マルス-ゼロの革命-』と隅々まで対策した作品を作っている。さすがは視聴率三冠王ですよ」(放送作家) 何かとキャスティングが取り沙汰される冬ドラマだが、見逃せないのはかつて隆盛を誇った旧ジャニーズ勢の落日だ。 主演クラスは1年前に決まるのが常なので今クールまでは旧ジャニーズ勢が残っていたが、櫻井の『新空港占拠』以外、目立った数字を残せていない。 「バーターがなくなっているのも見逃せません。これは各局が旧ジャニーズタレントの起用に消極的になっていることの証左。コアなファン以外、拒否感情が強いことがわかってきたのです」(キー局プロデューサー) スポンサー離れを懸念した各局が、作品の目玉として立てたのが韓流スター、LDH所属アーティスト、そしてお笑い芸人のキャスティングだった。 「二階堂ふみ(29)とチェ・ジョンヒョプ(30)の『Eye Love You』(TBS系)は丁寧に作られたラブコメディ。二人とも多彩な演技ができるので、このままコメディで突っ切るのか、シリアス方向に舵を切るのかが、興味深いところ」(大山氏) 「『婚活1000本ノック』(フジ系)の主演・福田麻貴(35)のリアル感が絶妙。相手役の『FANTASTICS』八木勇征(ゆうせい)(26)は可愛さが炸裂していてポスト・赤楚衛二(あかそえいじ)(29)といったところ。ブレイクしそうです。キャスト、時間帯からして数字は期待されていなかったのか、スタッフが好き勝手に作っている感じが面白さに繋がっている」(放送作家) と、評判も悪くない。 今期、ウォッチャーたちが「文句なく面白い」と激賞する『不適切にもほどがある!』(TBS系)はマーケティングの勝利だと川田氏は見ている。 「昭和世代には懐かしく、若者には新鮮なものがウケることは、『今日から俺は!!』(日テレ系)の成功でも証明されています。20代が″理解不能な上司の価値観″を勉強するために観ていると聞きますし、職場で共通の話題にできるのは大きい」 キャストにおカネをかけられないぶん、作り手たちが奮闘している点に北川氏は注目しているという。たとえば『不適切にもほどがある!』の脚本は宮藤官九郎。 阿部サダヲ(53)扮する昭和のおっさんのコンプラ一発アウトの言動を、 「このドラマには不適切な表現および喫煙シーンが含まれますが(中略)あえて’86年当時のまま放送します」 というテロップで対応する手法が「スカッとする!」と作り手に受けている。制作費が削られる中、ドラマを支えているのが脚本家ら作り手なのだ。 「『アイのない恋人たち』(テレ朝系)は三振か大ホームランかの脚本家・遊川和彦が丁寧に作っています。篠田麻里子(37)の身体を張ったド迫力ラブシーンで配信が絶好調の『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(テレ朝系)は、断筆宣言した鈴木おさむの地上波ラスト脚本作品です」(北川氏) 『大奥』(フジ系)は「数字こそ振るっていませんが、作り手たちのモチベーションになる作品です」と川田氏が言う。 「壮大な時代劇ゆえ、収支を考えれば赤字でしょう。ただ、『いつかは自分も』とスタッフが思える環境がなければ、大きな視点で創作はできなくなる。ノウハウの継承という面でも腹を括(くく)って取り組む大作は局の財産となるはずです。それに、世界配信を意識するなら、このぐらいの予算規模は逆にマストのはず」 ドラマ枠の増加と経費節減で制作のためのリソースが削られているいまこそ、 ″現場力″が求められているのだ。 『FRIDAY』2024年3月1・8日号より
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