ALS嘱託殺人、医師の控訴を大阪高裁が棄却…「命を絶つため他者の援助求める権利認めていない」
難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)患者に対する嘱託殺人罪などに問われた医師の大久保愉一(よしかず)被告(46)の控訴審判決で、大阪高裁(長井秀典裁判長)は25日、懲役18年とした1審・京都地裁の裁判員裁判判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
控訴審判決によると、大久保被告は元医師の山本直樹被告(47)と共謀。2019年11月、京都市内に住むALS患者の女性(当時51歳)から頼まれ、薬物を投与して殺害した。
弁護側は、自己決定権を保障する憲法の規定は「自分の人生の終わりを主体的に決めることも保障している」と主張。女性の依頼に応えた被告を処罰することは「憲法に反する」とし、無罪を求めた。
長井裁判長は「(憲法の規定は)自らの命を絶つため、他者の援助を求める権利を認めているわけではない」と指摘。他者の命を奪っても社会的な相当性があるケースの要件を満たしていないと判断した。
大久保被告は、山本被告の父親で精神疾患のある靖さん(当時77歳)を殺害したとする殺人罪にも問われ、長井裁判長は1審判決と同様、有罪と認定した。