「カーシェアリング」が流行るとスポーツカーが売れる?
「道具としてのクルマ」と「所有したいクルマ」
ということで、ここまではカーシェアリングがどういうもので、何故普及し始めたのかを駆け足で説明してみた。いよいよ本題に移ろう。カーシェアリングが一般的になると、クルマの販売動向はどう影響を受けるのだろうか? おそらく、ここまで読み進めるうちに「カーシェアリングなんて絶対嫌だ。自分のクルマが持ちたいんだよ」と思った人がいると思う。そういう人がすっきりするであろう話に多分これからなる。 今後カーシェアリングの普及が加速すれば、もっとも割りを食うのはミニバンだろう。毎日6人乗車という人はほとんどいない。月に一回あるかないかのピーク需要に合わせて燃費の悪い大きなクルマを毎日使うのは合理的ではない。そんなものは必要な時だけあればいい。引越しの時に便利だからと言って、2トントラックを普段の足にする人がいないように、イレギュラーな用途への対処はカーシェアリングで何とでもなる。 つまりカーシェアリングが普及することで、要らなくなるのはクルマの道具としての利便性だ。逆説的に言えば、どんなにカーシェアリングが普及しても、自分で所有しないと気が済まないクルマは、関係なく売れる。大昔に流行ったビジネス用語で言えば、ニーズとウォンツ。カーシェアリングはニーズを満たすには最適だが、ウォンツにはあまり応えられない。むしろニーズはカーシェアリングが解決してくれるのだから、実用性はカーシェアリングに任せると割り切ってしまえば、本当に欲しいクルマが買えるようになるはずだ。
トヨタ「G’s」のコンセプト
筆者はだからこそ各社がスポーツカー開発に力を入れているのだと思う。例えばトヨタはG'sという純正チューニングカーのシリーズを出している。このコンセプトは中々に面白い。 > “私は今、スポーツカーに乗っています。” > > 本音ではスポーツカーに乗りたいけど、今はミニバンに乗っている。 > 本音ではスポーツカーに乗りたいけど、今は小さいクルマに乗っている。 > 本音ではスポーツカーに乗りたいけど、今はエコカーに乗っている。 > 「今の自分のライフステージを考えれば、スポーツカーなんか選べっこない」、 > そう思って我慢している人は、実は決して少なくないと思うのです。だったら逆に、もし「他の大事な何かを犠牲にしないで乗れるスポーツカー」というのがあったら、何か全然別の新しい人生、ワクワクする毎日が待っているんじゃないか。 > 「あらゆるライフステージカーを」「徹底的に高度なチューニングで」「本物のスポーツカーに変換する。」という画期的なコンセプトから生まれたスポーツカーブランド、それがG’sです。 > 隠れスポーツカーファンを、退屈ではなく心躍る日々へと解放するクルマ。 > スポーツカーそのものを、もっと広く自由に楽しめる存在へと解放するクルマ。 > SPORTSCARS for ALL すべての人に、スポーツカーのある楽しさを。