同じ墓に入る「墓友」たちの活発な交流 “もう一つの我が家”を拠点に手芸や書道、俳句やウオーキングなどのサークル活動 育まれる“ゆるやかな共同性”
年に1度開かれる追悼式
高齢化が進むなかでは、強い絆で結ばれた墓友との別れのときも訪れる。 「あのかた、亡くなったのね」 「あなたは最近、どうなの」 霊園内のサロンで行われる、女性たちの和やかな会話も墓友の集いならではかもしれない。 10月の秋晴れの日、東京都府中市の霊園「府中ふれあいパーク」の一角。60~70代の女性35人が集い、年に1度の「追悼会」が開かれた。 「今年は9名の会員が亡くなりました。これまでで最も多かったですね」 そう語るのは、追悼会を開催したNPO法人「SSS(スリーエス)ネットワーク」代表の松原惇子さん。2000年に「女性のための共同墓」を建立し、現在の契約者数は500名ほどだ。 「未婚や離婚、死別を問わずシングルの女性が老後を安心して生きるため、1998年にスリーエスを立ち上げました。当時の会員は50代中心でしたが、いまは70代がほとんどで出歩くのが大変になり、ここ10年で亡くなるかたがぐっと増えた印象です。それでも、お墓でつながる人たちは生きているうちに集ってこそとの信念のもと、年に1度の追悼式を欠かさず開催しています」(松原さん・以下同) バラの霊園として知られるふれあいパークの一角に共同墓があり、納骨堂を兼ねたクリスタルの丸いテーブルをベンチが囲み、クリスタルボードに会員一人ひとりの名前が刻まれる。追悼会ではメンバーが思い思いにお参りし、故人の思い出などを語り合う。 「追悼会以外にイベントはしませんが、つながっていることが大事で、500名の名前が刻まれたボードを見ると“こんなに仲間がいる”という安心感を得られます。年に1度の追悼会をきっかけに日頃から交流したり、一緒に住み始めた人もいます」 (第4回に続く。) ※女性セブン2024年11月21日号