スペック表にある「最高出力」と「最大トルク」の違いとは? 今さら聞けないバイクの基礎知識
最高出力と最大トルクが出る条件とは?
こうした関係性から、ざっくりといえば、 最高出力は「バイクがスピードを出すための力の最高値」 最大トルクは「バイクを加速させるための力の最大値」 といった感じの意味合いになるといえます。 ただし、いずれも、そうした力が常に出ている訳ではなく、前述した「rpm=発生回転数」のときに最も大きな数値が出ることになります。 しかも、たとえば、同じ排気量の同系エンジンを搭載していたとしても、バイクの特性などにより、あえて数値を変える場合もあります。 たとえば、ホンダのアフリカツイン系1082cc・水冷4ストローク直列2気筒の場合。同系のエンジンを積みながらも、アドベンチャーモデルの「CRF1100Lアフリカツイン」とクルーザー系の「レブル1100/T」では、出力やトルクは以下のように違います。 【CRF1100Lアフリカツイン】 最高出力75kW[102PS]/7,500rpm 最大トルク112N・m[11.4kgf-m]/5,500rpm 【レブル1100/T】 最高出力64kW[87PS]/7,000rpm 最大トルク98N・m[10.0kgf-m]/4,750rpm 最高出力、最大トルク共に、数値的にはCRF1100Lアフリカツインの方が大きくなっています。でも、レブル1100/Tの方が、発生回転数はいずれも低い設定。そのため、レブル1100/Tは、より低速域で出力やトルクを発生し、発進時などの加速がスムーズであることが予想できるます。対して、CRF1100Lアフリカツインは、高回転時のパワフルさをより味わえる設定となっている感じですね。 このように、これらの数値を見ることで、同系エンジンでも、バイクの種類や特性に合わせて、セッティングを変えていることが分かります。そして、こうした違いから、各モデルがどんな乗り味や個性を持つのかが予想できるのです。 ともあれ、最高出力や最大トルクは、そのバイクがどんな走りやエンジンフィールを体感できるのかを知るための指標といえる数値です。愛車を新しく購入する際などには、ぜひ参考にしてみて欲しいスペックのひとつだといえます。 *写真はイメージです
平塚直樹