なぜ男性は40歳前後、女性は50・60代で「お腹」にくるのか…筋トレでの体重増は良い太り方?科学がつきとめた「中年太り」の真実
健康診断の結果を見て、体重が増えたのは年齢を重ねて代謝が落ちたから…と思っている方もいるようですが、神戸大学大学院保健学研究科准教授の山田陽介先生は「少なくとも60歳くらいまでは、若い頃(例えば20代)と比べて代謝の差はほとんどないということがわかっています」と話します。その山田先生いわく「男性の中年太りの多くが40歳前後から始まるのに対して、女性の中年太りは50歳前後から始まる」そうで――。 【書影】最新科学から導かれた最新知識で中年太りをストップ!山田さん著書『科学がつきとめた 中年太りのすごい解消法』 * * * * * * * ◆なぜ中年男性はお腹が出る? 男性の中年太りの特徴というと、お腹が出てくることでしょう。見た目が気になるのも、このポッコリとしたお腹です。 1日10キロカロリーオーバーでも、20年後には10kgの体重増になり、20キロカロリーオーバーなら、10年で10kg増になります。増えた体重は、皮下脂肪に加え、内臓脂肪の重さです。 内臓脂肪は、飢餓状態に直面したときのためにたくわえるエネルギー源です。大昔の人類は、現代のようにいつでも食事が摂れる状況にはなかったので、エネルギーを脂肪にしてたくわえておくシステムが必要でした。 たくわえられた内臓脂肪は、飢餓のときに燃やしてエネルギーにすることができます。しかし、現代はいつでも食べられるので、消費できなかったエネルギーは増えていくばかりです。それが男性の場合は、ポッコリと出たお腹となっていくわけです。 これに対して、女性はもともと女性ホルモンの働きにより、内臓脂肪ではなく、皮下脂肪として蓄積されやすいのです。 中年太りというと、お腹がポッコリと出た肥満を想像しがちですが、男性のほうがこの状態になりやすいわけです。 しかし、女性も中年太りをしないわけではありません。男性の中年太りの多くが40歳前後から始まるのに対して、女性の中年太りは、50歳前後から始まります。
◆女性のほうが男性よりも脂肪がつきやすい お腹が出るような肥満を中年太りとするなら、女性は50歳前後から始まるということになりますが、若い頃は、女性のほうが男性よりも脂肪(特に皮下脂肪)がつきやすいです。 例えば、女性のフィギュア選手の多くは、15歳ぐらいでピークを迎え、その後、脂肪がついてくることが多いといわれています。ピーク時にはできた4回転ジャンプが、15歳を過ぎた頃から体重が増えてできなくなる選手もいました。 これは、主に女性ホルモンの働きによるものですが、同時に男性よりも女性は基礎代謝や総エネルギー消費量が低いことも要因の一つです。 ただ、女性の場合は、皮下脂肪が増えていくので、全体的にぽっちゃりすることはあっても、お腹が目立って出てくることはあまりありません。 これに対して、男性は基礎代謝や総エネルギー消費量が高いので、25~30歳ぐらいの期間は、たくさん食べても脂肪がつきにくい時代が続きます。男性のフィギュア選手が女性選手に比べて、選手寿命が長いのは、この男女の体質の違いが原因かもしれません。 しかし、一般の男性なら25~30歳の頃の食習慣をそのまま続けていると、30代から少しずつ体重が増えてきます。 このように、食べて体に脂肪がつくようになるのは、実は女性のほうが男性よりも早いのです。
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