大阪桐蔭の元4番・小池裕也は藤浪晋太郎と森友哉の野球教室を実現「ツンデレのふたりをくっつけたい」
あの夏、同級生から「ノー」を突きつけられ、歓喜の輪に入れなかった男が、今は仲間たちにとって欠かせない存在となっている。それが小池の成長の証でもあるのだろう。このことについて澤田に尋ねると、はっきりと変化を認めた。 「たしかに小池は変わりました。高校時代と比べると、ものすごくしっかりしたと思います。劇的に変わったすね」 一昨年、小池と会っている時に、澤田から電話がかかってきたことがあった。知り合いのビルのオーナーの相談に乗ってほしいという仕事の話だった。電話が終わり、席に戻ってきた小池は細い目をさらに細めて、うれしそうにこう語った。 「頼まれごとをされたり、相談されたりするとうれしいし、しっかりやってあげようってなるんです」 人好きで、誰に対しても壁をつくらない本来のキャラクターが、失敗を糧としながらも年を重ねていくなかで、いい味となってきているようだ。 昨年は久米とふたりで、藤浪と森による野球教室を開催した。久米と会った際、藤浪と森がプライベートで食事に行ったことがないという話になり、「ツンデレのふたりをくっつけたいな。これはオレらにしかできへん」と盛り上がったのがきっかけだった。 森と同級で同じ捕手でもあった久米が森を、小池は藤浪に打診した。プランを伝えると、ふたりともノーギャラで引き受けてくれ、夜はツンデレふたりを中心とした食事会で大いに盛り上がった。 「藤浪も森も喜んで引き受けてくれて、僕のディーラー時代のお客さんも来てくれたり......。少しずつですけど、西谷先生が言う『応援してもらえる人間』になれているのかなと。もちろんまだまだですけど、道は踏み外してないとは思っています」 あの夏、失った信頼を取り戻し、少々説明が必要だったプロフィールも輝いて見えるようだ。
谷上史朗●文 text by Tamigami Shiro