『おむすび』が朝ドラ“史上最低視聴率”を更新しそうなワケ…どの世代にも支持されない理由
覚悟の感じられない“薄っぺらな”主張
第56回(12月16日放送)になると、結は栄養士として翔也のいる星河電器に入社する。就職試験に落ちまくった末の縁故入社だった。 入社早々に調理師で職場のボスである立川周作(三宅弘城)にかまされる。 「先に言うとく。うちに栄養士なんかいらん!」 どこの職場にもいる困った頑固おやじである。やがて結は女性社員に料理の量や味付けへの不満があることを知り、立川にこう進言する。入社1週間後のことである。 「ここの料理は全体的に味が濃く、塩分も多く含まれています。それと、ラードもメッチャ使ってますよね。ラードを使うと、コクが出て味がおいしくなりますが、飽和脂肪酸が多く含まれているので、生活習慣病のリスクが高くなると言われています。メニューをイチから見直しませんか」(結) 意見された立川はキレて、「やめたる!」と叫んだ。このエピソードも結のイメージを下げた。入社間もない身で職場の責任者に進言したからではない。このあと、結は立川に謝罪したからだ。なぜ、謝ったのか。そもそも結は深慮の上で立川に進言したのではない。覚悟がなかった。いつものことだが、軽い。相手の気持ちも考えられない。 「結はまだ20歳だから」と言う人もいるだろう。しかし、同級生の矢吹沙智が星河電器に入社していたら、同じような摩擦が起きただろうか。結のキャラ設定には疑問を感じざるを得ない。
50代以上の女性に好かれるキャラではない
朝ドラの主な視聴者は50代以上の女性である。『虎に翼』の個人視聴率を調べると、約4人に1人が観ていた。凄まじい数だ。次いで50代以上の男性。約7人に1人が観ていた。50代以上が観ないと、朝ドラは成立しない。 それなのに結の言動は50代以上に受け入れられそうにない。実際、『おむすび』の50代以上の個人視聴率は惨憺たる有り様だ。女性50代以上は『虎に翼』より視聴者が約2割も減った。男性50代以上は3分の2になってしまった。 そもそも50代以上がメインターゲットである朝ドラでありながら、設定を「平成青春グラフィティ」としたのは無理があった気がする。若い視聴者を増やせと大号令をかけていたNHK前会長・前田晃伸氏(79)の意向も酌み取られているのだろうが、視聴者層の異なる朝ドラでは無茶だ。 しかも若い視聴者もよく観ているわけではない。F1層(女性20~34歳)とM1層(男性同)の個人視聴率はともに0.3%にも達していない。全世代で総崩れなのである。