藤倉大さんが新音楽監督に就任 いずみホールのオーケストラ
住友生命いずみホール(大阪市中央区)は26日、ホール専属で、現代音楽を専門とする小編成オーケストラ「いずみシンフォニエッタ大阪」の新たな音楽監督に作曲家の藤倉大さんが就任したと発表した。2000年の楽団創設時から音楽監督を務め、23年9月に亡くなった作曲家の西村朗さんは、名誉音楽監督となる。ホールで記者会見した藤倉さんは「自分は新入生で、オケのメンバーらと学べる機会になるのが私にとって大切なこと。皆で面白いものをつくっていけたら」と意欲をみせた。 藤倉さんは大阪府出身で現在、英国を拠点に活躍している。ホール側は、23年末から就任を打診していた。多くの委嘱作品を手掛ける国際的な活躍に加え、「ボーンクリエイティブ・フェスティバル」(東京)をはじめ国内でも音楽祭のプロデュースにかかわり、日本の状況も把握していることなどを理由としている。 藤倉さんは現状の年2回の定期演奏会に加え、ゲストのソリストや指揮者を迎えての「チャレンジ演奏会」の実施、定期で演奏する新作・既存曲を問わない作品の公募、若手指揮者育成を目指したコンクールの主催といった、今後の新たな取り組みを明らかにした。「(曲を)書いても演奏してもらえないという経験を私もした。指揮者にも経験がいる。窓口が一つでも増えたら」との思いを語った。 就任にあたり、楽団員に質問して得た回答を、演奏会増などの取り組みに反映させたという。作曲する際も奏者との密なコミュニケーションを大切にしているといい、「一度コラボレーションすると、関係を長く続けたいのが私の気持ち。メンバー一人一人と仲良くなってから新作を書けるのではないか」と話した。 自身の「箏協奏曲」など、藤倉さんが音楽監督として組んだプログラムは26年2月予定の第55回定期演奏会で披露する。【最上聡】