世界各地の「8月9日11時2分」写した368枚 長崎市で「忘れないプロジェクト写真展」
今年の長崎原爆の日(8月9日)の午前11時2分に各地で撮影された写真を集めた「忘れないプロジェクト写真展」が長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで開かれている。11月4日まで。県内外と海外13カ国から368枚の写真が寄せられ、ウクライナへの侵攻を続けるロシアからの写真なども展示された。 【写真】米軍が米軍機より撮影した長崎原爆のきのこ雲 同市のアマチュア写真家で被爆者の小川忠義さん(80)が主催。原爆がさく裂したあの日と同じ時刻にシャッターを切ることで、被爆の記憶の風化を防ごうと取り組みをはじめ、今年で16回目となる。 会場は、商店街で立ち止まり黙とうする人々や、抜けるような青空の写真など、それぞれの「日常」で彩られた。中には撮影者からのメッセージが添えられている写真もあり、ロシア・ウラジオストクの、のどかな街並みを写した1枚は「本当に戦争をしている国なのだろうか」と問いかけている。 小川さんは4~7月、非政府組織(NGO)「ピースボート」の世界に核兵器廃絶を訴える旅にも参加。英ロンドンや米ニューヨークなど18カ国を巡り、うち12カ国で被爆体験の証言を行った。2012年以来2度目の乗船で、「前回と比べ、核の問題に関する関心の高まりを感じた」と語る小川さん。背景にウクライナやガザの現状があると分析し、「喜ぶべきか、憂えるべきか、複雑な心境だが世界に被爆の実相を知ってもらうことは大切だ」と話す。 昨年からは、小川さんの孫、長門百音(もね)さん(21)=同市=もプロジェクトに参加している。ピースボートにも同行し、航海中の船内で昨年のプロジェクトで集めた写真を展示。得意の英語を生かして積極的に声をかけ、今年の企画への参加を呼びかけた。「取り組みに賛同を得られただけでなく、環境問題や核実験の被害など、平和に関する新たな視点にも触れることができた」と語る長門さん。「今回の出会いをきっかけに、SNSなどを通じて世界中の人にプロジェクトを知ってほしい」と意気込んだ。 写真展は午前10時~午後5時半(最終日は同2時まで)。入場無料。 (竹添そら)