結木滉星「主演を張っていけるような役者に」撮影を通して芽生えた思い:インタビュー
俳優の結木滉星が、『テレビ東京×WOWOW 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season1』(テレ東系毎週金曜夜8時~放送中)に出演。向井理演じる主人公・多家良啓介のかつての同僚・警視庁メンバー山本貫太を演じる。WOWOWとテレビ東京の初共同製作となる今作。主演に向井理、脚本・吉田康弘や監督・河野圭太など数々の話題作を手掛けてきたクリエイター陣を迎え、近年ネットの普及と共に拡大し続ける様々な詐欺被害をテーマにした、法では裁けない悪を裁くクライムエンターテイメント作品。インタビューでは、自身の役に臨むにあたり意識していたことや、共演した向井理とのエピソード、この作品を通して芽生えた思いについて、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】 【写真】結木滉星、撮り下ろしカット ■向井理は欠点がない!? ――出演が決まってどんな心境でしたか。 僕が演じさせていただく山本は向井さん演じる多家良と過去に関係のある役で、今の山本が出来上がったのは、多家良の影響がとても大きいんです。山本としての軸となるようなシーンを、向井さんと丁寧に作っていけたらと思っていました。また、山本は若いですが警視庁捜査二課・特別捜査室6係の統括主任なので、頼りがいがあって、説得力のある存在になれるようにしたいと思っていました。 ――脚本を読まれてどんなことを感じましたか。 フィクションですけど、 現実にありえなくはない話だなと思いました。脚本を読んでとても面白くて、読み進めていくのが楽しみになり、すごく面白い題材だなと感じました。わかりやすく悪を裁いていくので、読んでいてスカッとするストーリーになっていると思います。 ――いろいろな詐欺師がいることが改めてわかります。 本当にいろいろな詐欺のパターンがあります。僕も全く知らなかった詐欺もあったので、とても勉強になりました。 ――結木さんは、内田理央さんとのシーンも多いですよね? 内田さんは僕より年齢が少し上なのですが、ほぼ同世代なので、現場でも楽しくやらせてもらっています。内田さんは、演じる宮部ひかりと同じように、気持ちがとてもまっすぐな方でした。 ――主演の向井さんはどんな方だと思いました? まず向井さんの顔がとても小さくてびっくりしました。こんなにスタイルのいい方がいるのかと。人としても素敵な方で僕はこういう年の重ね方をしたいなと思いました。向井さんを見ていると、とてもスタイリッシュで現場での立ち振る舞いも素敵で憧れます。山本は多家良に憧れている、という設定が僕の中にあるのですが、僕自身も、向井さんを尊敬しているので、その部分は、山本と多家良の関係性と重なるところだと思います。 ――2つの顔を持つ主人公を演じる向井さんですが、結木さんから見て向井さんの裏の顔や意外な一面はありましたか。 普段の向井さんからはなかなか想像できないと思うのですが、かなりお酒が好きなところです。とてもお酒に詳しいので、向井さんから次の日に残らないお酒、おすすめの日本酒やワインなどいろいろ教えてくださるところが意外な一面だと思いました。まだ、向井さんと一緒に飲みに行ったことはないので、いつかご一緒させて頂きたいです。また、向井さんは欠点がなさすぎるんです。内田さんと一緒に欠点を探している最中なのですが、クランクアップするまでには何か1つは握りたいです(笑)。 ――結木さんご自身の裏の顔、ファンの方には見せていない顔はあったりしますか。 みなさんが僕のことをどう見ているかわからないのですが、割とガサツなところがあります。疲れている時は、お風呂に入らずにそのまま寝てしまうこともありますし、休みの日も、しっかり髪をセットして服もちゃんとして出かける、というタイプじゃないかもしれないです。 ■山本貫太はすごく人間味のある人物 ――ご自身が演じる山本貫太の印象はいかがですか。 山本はクールで、序盤の方では結構きつめにものを言ったりするので、一見冷たい人間なのかなと思ったのですが、物語が進むにつれてすごく人間味のある人物だと思いました。後輩はもちろん、しっかり被害者にも寄り添える人物だと思います。 ――演じる中で難しかったところはありましたか。 クールとカッコつけるというのは紙一重だと思っていて、あまりかっこつけた感じにならないように意識していました。また、礼の仕方など姿勢ひとつとっても上司に対してちゃんとしている、といった印象を見せたいと意識していたのですが、そういった何気ないところも難しいところの一つでした。 また、警察官ならではと言いますか、普段言わないような難しいセリフが山本は多かったので、正直いつもより役に入るのが難しい部分もありました。 ――特に印象に残っているシーンはありますか。 山本の軸になる部分は多家良とのシーンなので、 多家良との回想シーンというのは印象に残っています。今の山本があるのは過去の出来事がとても重要で、過去と現在の山本のギャップにも注目してもらえたら嬉しいです。また、向井さんと対峙して、「先輩はそんなんじゃなかった」と多家良とぶつかるシーンはとても印象に残っていて、お気に入りのシーンの一つです。 ――刑事役も3回目。新たな発見はありましたか。 刑事と一口で言っても捜査第一課、捜査第二課では業務も違います。僕はあまり詳しくなかったのですが、今回の役を通して、課による違いを勉強出来たことは、新たな発見でした。 ――警察官役に起用される理由はなにか感じられていますか。 おそらく1番最初に出演した『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』がきっかけになっているんじゃないかなと思います。熱血感、正義感のある役を演じたので、そのイメージがついているのかもしれないです。 ――多家良との関係性についてはどう捉えていらっしゃいますか。 山本の態度から多家良に対してどんな恨みを持っているのかと思ったのですが、根本には多家良への憧れがあって、その裏返しだと思いました。山本が刑事として憧れていた多家良が、なぜいまは交番勤務をやっているんだって。そこでのギスギスした感じややるせなさ、悔しさみたいなのが大きかったのかなと思っています。 ■主演を張っていけるような役者に ――本作を通して役者として新たに芽生えた気持ちや、考え方はありますか。 いま29歳、今年30歳になるのですが、年上の方とお芝居をする機会も増えてきました。向井さんのような座長、主演を張っていけるような役者になっていけるように努力を続けていきたいという、気持ちがより一層強くなりました。 ――いろいろな役をやられると思うのですが、やり方など変化された部分もありますか。 それぞれの役毎にアプローチの仕方は違うので、決まったやり方があるわけではないです。 ――常に変化されていて。ということはルーティンみたいなものは特にないんですね。 ルーティンと言っていいのかわからないのですが、台本はカフェで読むようにしていて、それは自分の中でのルーテインかもしれないです。なんとなく家では集中しづらい感じがあり、僕の中で1番落ち着いて集中できる空間がカフェなんです。 ――でも、カフェだと声を出して確認とかできないですよね? セリフを覚えた後に自分の中で一旦咀嚼して、家に帰ってから声に出します。 ――さて、今回、詐欺がテーマのお話しですが、結木さんは騙された経験はありますか。 あります。友達と遊びに行った時のことなんですけど、「もう着くよ」と言われたので、僕は準備して行ったら、その友達はまだ何も準備もしてなかったこととか(笑)。 ――あはは(笑)。お仕事で、いい意味で「騙された!」と感じたことは? 撮影と誕生日が重なった時に、皆さんがサプライズでお祝いをしてくださるんですけど、 僕は誕生日のことをすっかり忘れていることもあって、それが不意打ちのサプライズとなり、「騙された!」みたいな感覚になります。 ――自分の誕生日、忘れてしまうんですね(笑)。 現場では仕事に集中しているので、忘れてしまうこともあります。でも、そのおかげでサプライズのお祝いはすごく嬉しいです。また、誕生日を覚えていて、もしかしたらサプライズあるかもと思っていても、意外なタイミングでくるときがあって、「えっ!ここで来る?」みたいな驚きもあります。 ――さて、結木さん演じる山本は刑事。刑事といえば正義というワードが浮かびますが、日々のなかで自分の正義感が出てしまう瞬間は? 陰口を言うのが嫌いで、僕は言わないようにしているんですけど、そういう人を見ると許せなくなるところです。他人の陰口というのは盛り上がっちゃうじゃないですか。それが苦手なんです。 ――そういう時はどういう感じになります? 嫌悪感を示す時と、無視をする時があります。それで気づいてほしいと言いますか、僕はこの話はもうしたくないよ、という意思を示します。 ――最後にドラマを楽しみにされている方へメッセージをお願いします。 正義にはいろいろ種類があって、それぞれが正義を持っている中で、まだそれを見つけられていない人もいると思います。だからといって諦めずに、自分の正義を模索し続けていくことの大切さを作品を通して感じたので、何事も諦めないということを伝えられたらと思っています。1時間で内容が濃くて、とてもスカッとする作品になっているので、特に頭の中が悩みなどでモヤモヤしている人に観ていただけたら嬉しいです。 (おわり) スタイリスト/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/中島愛貴