玉城デニー知事訪米の成果は 「中国の脅威理解していない知事」の烙印…米政府から「特別待遇」受けられなかった最大の要因
【仲新城誠 沖縄が危ない!】 ■「特別待遇」受けられず 沖縄県の玉城デニー知事は9月に訪米し、米政府関係者に「米軍基地負担の軽減」を直訴した。米兵による性的暴行事件が発覚したことを受け、同様の事件の再発防止も申し入れた。 【写真】ポケモンの「ガーディ」と一緒にゆいレールのラッピングトレイン乗り、ご満悦の玉城デニー知事 一方、尖閣諸島(石垣市)周辺海域で頻発する中国艦船の領海侵入など、沖縄が直面する中国の脅威には言及しなかった。むしろ滞在先での発言は〝対中融和〟を訴える内容が目立った。 訪問先の国務省、国防省では米兵による事件への抗議、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設反対を訴えたが、両省とも対応したのは日本部長。県によると「問題が発生した際は迅速に、透明性と実効性をもって対応する」ことを確認したという。 だが、訪米した歴代知事の中には、長官と面会した例もある。米政府は知事をビジネスライクに扱い、それ以上でも以下でもなかったようだ。知事が「特別待遇」を受けられなかった最大の要因は、その政治姿勢ではないか。 玉城知事は米シンクタンク関係者との面談で、「『台湾有事は日本有事』という言葉が危ういくらい独り歩きしている」と日米の対中強硬姿勢に懸念を表明した。 コロンビア大学での講演では「軍事力の強化のみでは緊張感を高めるだけ。外交による緊張緩和、信頼関係が必要」と述べ、県が独自の「地域外交」に取り組んでいることを説明した。 台湾周辺や南シナ海で中国の侵略的な行動が激化するなか、対中抑止は日米にとって喫緊の課題だ。知事が基地負担の軽減を訴えることには一定の意義があるが、抑止力を否定するような言動が米政府から見て〝時代錯誤〟に映ったであろうことは想像に難くない。 直前の8月末には台湾に近い与那国町の糸数健一町長も訪米した。米政府関係者との面談では、「台湾有事」を防ぐため抑止力の強化を求めた。同じ沖縄から来た2人の首長が真逆の発言をしたことになる。 ラーム・エマニュエル駐日米国大使は5月、与那国島を初訪問して糸数氏と懇談している。米政府としては糸数氏の発言の方を重要視したはずで、玉城氏に対しては「対中最前線にある沖縄の危機を理解していない知事」という印象を抱いたのではないか。 玉城知事の訪米は沖縄県内では大きく報道され、知事は「さまざまな成果が得られ、大変有意義だった」と自賛した。