人気マンガ『正直不動産』取材協力者が説く「正直営業」の極意 なぜ紹介だけで事業がうまくいくのか?
営業で成果を上げるのに、最も大切なものは何でしょう? コミュニケーション力、課題発見力、マーケティング力……。 さまざまなスキルが思い浮かびますが、「正直であることこそ、営業にとっては何よりも大切です」というのは、不動産仲介業を営む鈴木誠さんです。 鈴木さんは「正直営業」を武器に、紹介だけで事業を展開。紹介が途切れない不動産会社として、知る人ぞ知る存在です。そんな鈴木さんに、「正直営業」の極意を伺います。
【鈴木誠 Makoto Suzuki】 誠不動産代表 高校卒業後、陸上自衛隊、アパレル販売員を経て、不動産業界に転身。 大手不動産仲介会社を経て独立後は、完全紹介制でお客さまに徹底した心づかいをすることで、芸能関係者やプロスポーツ選手を始め紹介が途切れない不動産会社として話題に。これまでの物件内見数は2万5000件以上、契約数は3000組を超える。 漫画『正直不動産』の取材協力、日本テレビ系「有吉ゼミ」出演などメディアでも活躍。 最新刊は『正直営業のすすめ 「紹介が途切れない人」になるための心得』(クロスメディア・パブリッシング)。
正直営業とは、徹底した顧客ファースト
どうすれば営業成績を上げられるのか──。 日々、数字に追いかけられながら、「できる営業」のあり方を模索している人も多いでしょう。営業パーソンにとって、重要なスキルはさまざまなものが挙げられますが、実は「正直であること」が、できる営業の基本中の基本なのです。 徹底的にお客さまの立場に立った本音の正直営業をモットーとしているのが、誠不動産代表の鈴木誠さんです。鈴木さんの正直営業は口コミで評判を呼び、今では「リアル正直不動産」と言われるほどです。
「正直営業こそが、できる営業パーソンの条件だ」と言われても、なかなかピンとこないかもしれません。鈴木さんの定義する「正直営業」とは、具体的にどういうことなのでしょう。 鈴木「正直営業とは、何も特別なことではありません。お客さまのためになること、お客さまに喜んでもらえることを考えて、お伝えする。そこには誇張やごまかしは不要です。思ったままをお客さまに包み隠さず話すようにすればいいのです」 なんだ、そんなことか……。そう思う人もいるかもしれませんが、徹底的に「お客さまサイド」に立って正直な言葉を伝える営業は、意外に難しいものです。 月末で売り上げの数字が少しだけ足りないとき。お客さまの事情より「ここで契約を決めたい」という気持ちが勝って、多少強引に営業したことがある。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。 鈴木「締め日や数字のことを考えてしまうと、どうしてもお客さまファーストからブレてしまいます。ですから、私は一切数字を追いかけることをやめました。売り上げの目標もありませんし、年間売り上げの実績は年に一度、税理士から報告されて初めて知るという感じです。 数字を見なくなったことで、『目の前のお客さまのため』ということに常に集中できるようになりました」