銭湯は地球を救う? 札幌で魅力伝えるまち研究家・塚田さんが講演
【北海道・札幌】全国で3,500近くあり、昔から地域になじんでいる施設……といえば、何を思い浮かべるでしょうか?その施設とは「銭湯」。2014年の調査によると、全国に3,450施設あり北海道には全国で8番目に多い284軒の銭湯があります(総務省経済センサス-基礎調査)。その銭湯倶楽部代表を務め、まち文化研究所も主宰する北海道の研究家・塚田敏信さんが札幌市内で銭湯をテーマに講演を行いました。
かけ湯をたとえに地球環境考える
塚田さんは、1950(昭和30)年に赤平市で生まれ、札幌篠路高校教諭などを経て現在は藤女子大学・札幌大谷大学で講師を務めています。塚田さんは、全国の公衆浴場業者が集まる「第56回全国公衆浴場業者北海道大会」(6月13日札幌・京王プラザホテル)で、「銭湯文化が『人』と『まち』を照らす」と題して講演しました。 公衆浴場や小樽の建築物などに関する著書を持つ塚田さんは、30年近くに渡り「まち文化」を研究。その研究の中で、「これからどのような生き方をすればいいか」を考えたときに、必ず「銭湯」に立ち戻るのだそうです。 塚田さんが提唱しているのが「銭湯は地球を救う」という考え方。銭湯で、皆がかけ湯をせずに湯船に入っていくと、知らないうちに汚れがどんどん溜まっていきます。これは、地球環境と同じなのではないか……地球に関しても、ほかの人のために気を遣わないとどんどんゴミが溜まっていくことは、「銭湯」が一番身近に教えてくれるというわけです。
スーパー銭湯に増えたたくさんの但し書き
また、新しい公衆浴場ができると「自分なりのチェックポイント」を確認し、この先その施設がどういう風に発展していくか、どの点で厳しくなっていくかを想像しているそう。その中で最近気づいたのが「スーパー銭湯の但し書きが増えたこと」。これは、銭湯文化が衰退しつつある中で、但し書きが必要になったこと・銭湯におけるルールを再徹底する必要が出てきたということで、危機感を募らせているといいます。 実際、今から35年ほど前の1980(昭和55)年の全国の公衆浴場数は15,696軒で、ここ35年でおよそ5分の1にまで激減しています。前述のスーパー浴場の急激な拡大により、地域の銭湯が減っているという現状があるのです。