<ワンチーム>’20センバツ 山梨学院/上 2年連続4回目、出場までの軌跡 小技生かした攻撃 /山梨
第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に、2019年の秋季関東大会で準優勝を果たした山梨学院が出場する。選手たちはチーム一体となって戦う「ワンチーム」を合言葉に、甲子園での躍進を狙う。2年連続4回目となるセンバツ出場を決めるまでのチームの軌跡を振り返る。【金子昇太】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇終盤の粘り強さも武器に 「毎晩バットを振ろう」。19年9月22日夜、野球部寮の食堂で開かれたミーティング。集まった選手たちは危機感を募らせていた。脳裏には、この日あった秋季県大会2回戦の巨摩戦が浮かんでいた。3―0で辛くも勝利したが、安打数は相手を下回る4本。3季連続で甲子園に出場しているチームとしてはふがいない結果だった。話し合いの結果、夕食後に各自で素振りに取り組むことを決めた。 吉田洸二監督(50)も焦りを感じていた。次戦の相手はライバル、東海大甲府。「このままでは打てない」と考え、打撃練習に比重を置くことにした。前チームには高校通算53本塁打を放った野村健太選手をはじめ、菅野秀斗選手、相沢利俊(かずとし)選手ら好打者がそろっていた。一方、今年は絶対的なスラッガーが不在で、吉田監督には「打線全体で打つ力が弱い」と映っていた。 試合までの5日間、選手たちは一人1日500球を打ち込み、毎晩800~1000回の素振りをこなした。そして、臨んだ東海大甲府戦。八回までシーソーゲームとなったが、九回に10安打の猛攻で12点を挙げ、突き放した。続く準決勝の甲府工戦は七回に逆転、決勝も延長の末に駿台甲府に競り勝った。苦しみながらも土壇場で打線が奮起し、前チームも果たせなかった優勝をつかみ取った。 吉田監督の予想を良い意味で裏切って勝ち進んだが、打撃面で前チームに劣るとしたら強さの秘密はどこにあるのか。選手たちが挙げるのは甲子園経験者の存在と、バントやヒットエンドランの“小技”を生かした攻撃だ。甲子園でプレーした主軸の栗田勇雅選手(2年)や小吹悠人選手(同)らがピンチの場面で個々の選手にアドバイスを送ることでチーム全体が落ち着いていられたという。また、俊足を生かしたバントやヒットエンドランにも意識的に取り組んできた。 自身も50メートルを6秒0で走る㓛刀史也主将(同)は「得点力のあるスラッガーはいない中、細かい技で好機を広げ、ワンヒットで1点を取りたい。終盤の粘り強さという自分たちの武器も生かし、優勝を目指したい」と意気込みを語る。