「サウナで整うつもりが結局作品のネタ探しでしんどかった」女性漫画家・まんきつ「49歳の今は人から求められることを断る勇気も」
── そんなエピソードまで漫画に落とし込むのは…苦しい側面もあるのでは? まんきつさん:精神衛生上よくないので、基本的には自分でつらいと思った経験は描かないようにしていて。編集担当が失踪したエピソードも最初は描くつもりがなかったのですが…「絶対おもしろくなるから!」と編集担当の熱意に根負けして描きあげました。『アル中ワンダーランド』も、自分にとっては苦しい体験だったので最初乗り気ではなかったんですが…。
── オファーがあったから、ご自身の気持ちと闘いながら描いたんですね。ただそれで大きな反響があったりもするわけで…。 まんきつさん:そうなんですよ。予想以上にいろんな方からあたたかい反応をいただいて。今となっては描いてよかったなって当時の担当編集には感謝しています。ただ、できればこんなしんどい仕事はもうやりたくない。だからこの先はもう…今までは断れなくて「おもしろいから描いて」と言われたら描いてきましたが、最近では断れるようになりました。難しい依頼が来たとしても、自分の気持ちに正直にいたいですね。
──「断れるようになった」というのは、何か考え方に変化があったのでしょうか? まんきつさん:なんでだろう…。最近は、小さいことでも自分の気持ちに正直になれています。多分、年齢のせいなんでしょうね。今までは、たとえば「中華食べに行こう」と誘われたら、そのとき食べたいのが海鮮だったとしても、黙って応じるタイプだったんです。それが今では変わりましたね。そういった日々の小さな選択一つひとつから、自分の気持ちに正直になることが大事だったりするよなって。
── つねに「自分に正直になろう」と意識しているのでしょうか? まんきつさん:イメトレはしていますね、いつも。「こう言われたらこう返す」とか。例えば、LINEでこう来たらすぐこう返すとか。じゃないと、嫌なことも「いいよ」って言っちゃいそうな気がするんです。「自分の人生を生きたいように生きよう」と思えるようになったのも、結局は気持ちをリセットできるサウナのおかげかもしれないですね。 ── ネタ探しをやめてサウナに行ったら楽になった?