今年3本目のオープニング1億ドル突破を達成!北米秋シーズンの幕開けは『ビートルジュース ビートルジュース』の独壇場に
ディズニー作品が圧倒的な強さを見せつけたサマーシーズンが終わり、ここからはハロウィンや感謝祭などのイベント&ホリデーに向けた娯楽作や来年のアカデミー賞を見据えた作品が続々登場する秋シーズンが始まる。その先陣を切ったのが、ティム・バートン監督の最新作『ビートルジュース ビートルジュース』(9月27日日本公開)だ。先週末(9月6日から9月8日)の北米興収ランキングは、まさに同作一色に染まる結果となった。 【写真を見る】36年ぶりに帰ってきた“人間怖がらせ屋”が大暴れ!気になる作品評価は… ワーナー・ブラザース作品としては『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(19)の4750館を上回る歴代最多の4575館で封切られた『ビートルジュース ビートルジュース』。初日から3日間の興収は1億1100万ドルと、今年公開された作品ではサマーシーズンの2強『インサイド・ヘッド2』(日本公開中)と『デッドプール&ウルヴァリン』(日本公開中)に続いて3本目のオープニング興収1億ドル突破を達成。 また、バートン監督作品の歴代No. 1ヒット作である『アリス・イン・ワンダーランド』(10)のオープニング興収1億1610万ドルにも匹敵するロケットスタート。バートン作品がいまなお根強い人気を誇るのはいうまでもないが、途中にNetflixシリーズ「ウェンズデー」があったとはいえ、長編映画は『ダンボ』(19)以来5年ぶりであり、これはバートン監督の長編キャリアで最も長いブランク。久々の新作長編への期待感が、36年ぶりの続編というハンデをいとも容易く吹き飛ばしたのであろう。 ちなみに2位の『デッドプール&ウルヴァリン』が前週から大きく興収を落とし、週末3日間でわずか700万ドルの興収にとどまっていることからもわかる通り、この週末の全体興収1億4768万ドルのうち、実に75%を『ビートルジュース ビートルジュース』が占めている。 この数字を2024年のほかのロケットスタート作品と比べてみると、『デッドプール&ウルヴァリン』は74%、『デューン 砂の惑星PART2』(24)と『インサイド・ヘッド2』はそれぞれ72%。わずかの差ではあるが、今年一番の“ひとり勝ち”となったようだ。作品のテイストから考えるに、ハロウィンまでの2か月間は息の長い興行を続けられるだろう。あとは先述の『アリス~』を超えられるか否かが注目ポイントとなる。 そのうえで気になるのは、やはり作品評価。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は77%、観客からの好意的評価の割合は82%と、まずまず高めだが決して爆発的な数字にはなっていない。とはいえ好みがはっきりと分かれるのがバートン作品の特徴。過去の作品も概ね8割前後のスコアで推移することが多いので問題なし。また、タイプ的に賞レースを目指す作品ではないが、美術や衣装、メイキャップといった部門では大健闘を見せることだろう。 文/久保田 和馬