写真提供: 現代ビジネス

　ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。 【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 　2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。

タンタンは日本一

扉の向こうへ「圧」をかけておられます

　お嬢様がグルメっぷりを見せたのが、4回目(https://gendai.media/articles/-/77919)の取材時。ごはんが気に入らないお嬢様。いまでは懐かしい「圧」をかけておいでです。「竹が気に入らなかったんですね」と話すのは、飼育員の梅元良次さんです。 　ほとんど竹になりかけのシホウチク(四方竹)のタケノコをもらうも、それも気に入らず。竹を食べずに、ときおり運動場の縁から、観覧通路のようすを伺っていたようです。 　このあとは、毎日のハズバンダリートレーニングのようすをお届け。「うちはタンタンだけなので、練習にかける時間も多い。タンタンは何でも得意ですよ。ハズバンダリートレーニングに関しては、日本で一番上手だと僕は思っています」と、梅元さん。日本一の称号をいただきましたよ、お嬢様。 　「ダウンっていう、あおむけのポーズがイヤみたいですね。イヤというか、めんどくさい。声をかけた後に『めんどくさいな、やるの？　』みたいな“間”があります」(梅元さん)。日本一と呼ばれるトレーニーにも、苦手なものはあるようですね。 　得意なのはレントゲンのポーズ。「一番の目標は、タンタンに健康で長生きしてもらうこと。ハズバンダリートレーニングに特化することで、元気に過ごしてくれればうれしいですね」と梅元さん。

4台のカメラで撮影

室内展示のお知らせ　神戸市立王子動物園公式ツイッターより

　晴天なのに室内展示となってザワついたのが、5回目(https://gendai.media/articles/-/78139)の取材です。 　「週末は予約した人しかタンタンに会えません。屋外だと通路の後ろから眺めることもできますが、屋内はそれができない。なので、来園予定の方に早めにお知らせしようと思って、早めにツイッターにアップしたんです」と、梅元さん。この頃はコロナ禍の影響で、週末の観覧が予約制だったのですね。 　この回では公式ツイッター(現X)の写真についてもふれられていました。「基本は、朝の作業前に撮りためることが多いですね。自分の昼ご飯の時なども、タンタンが写るモニターを見ていて、何かやりそうだなと思ったら、撮りにいくこともありますよ」と、梅元さん。 　撮影に使っているのは、ビデオカメラ、一眼レフカメラのほか、2台のデジタルカメラの計4台。常にポケットに入れておき、シャッターチャンスを逃さないという姿勢に頭が下がります。 　「いいねをいただくと、励みになりますね。コメントも基本読ませていただいています。楽しみにしてますと言ってもらえると、やっぱりうれしいです」(梅元さん)。こうやって「＃きょうのタンタン」は続いていたのですね。 　そんな思いを知ってか知らずか、最後は竹ソムリエとして厳しく竹を選んでいたお嬢様なのでした。