4年ぶりに日本企業の増益基調崩れる? 同局面にあった2008年と比較する
日本の企業業績は約4年ぶりに増益基調が崩れています。アナリストが予想する一株あたり利益(予想EPS)は、2016年入り後の円高を主背景に下方修正が相次ぎ、下向きのカーブを描くようになりました。日本企業の決算をみても、来期の業績予想が慎重化しており、その動向が注目されます。
そこで前回の減益局面入りにあたる2007年後半から2008年にかけての状況を比較することで今後のヒントを探りたいと思います。まず、前回と今回に共通するのはともに円高ですが、最も大きく異なるのは原油をはじめとする商品市況の動向です。
現在と同様の減益局面にあった2008年は原油高だった
2008年にWTI原油は150ドル付近まで上昇しました。当時は米国や欧州の住宅バブルで先進国経済全体が潤うなか、新興諸国の著しい躍進が注目された時期で、世界経済は2004年から07年にかけて平均+5.3%という著しい高成長を記録していました(ちなみに2012-15年のそれは+3.3%、IMF集計)。 そうした下で“資源の争奪戦”が世界的に注目を浴び、商品市況には多額の投資マネーが流入し、「WTI原油の200ドル超えは時間の問題」といった声も聞かれる状況でした。資源高は非資源国の経済に大きな打撃を与えましたが、なかでも資源をほとんど持たない日本企業の置かれた状況は深刻でした。円高・原油高のダブルパンチが日本企業を直撃。日本企業は、円高で輸出採算が悪化するなか、輸入物価の上昇をコスト削減で埋めることを迫られたのです。それは交易条件(輸出物価÷輸入物価)という尺度を用いることで数値化できます。 反対に今次局面では原油をはじめとする資源価格が大幅に下落しています。原油安は必ずしも良い影響ばかりではありませんが、2008年のような資源価格高騰より遥かに恵まれた状況と言えるでしょう。交易条件が、当時の原油高局面と現在の原油安局面で対照的な動きになっていることが、それを物語っています。