「もうすぐ拘置所へ送られる」...恐ろしいロシア政府に拘束された女性と離れ離れになった娘の《奇跡の再会》
「ママ、わたし」
突然ドアをそっと叩く音がした。驚いて一瞬たじろいだが、耳を澄ませた。 「ママ、わたし」 娘の声が聞こえた。急いでドアを開けた。恐怖に震えながらアリーナがわたしに抱きついた。アリーナの膝は震えていた。そして両手も。 「パパが仕事に出て、お兄ちゃんが買い物に出た隙に、アプリを開いてタクシーを呼んだの」 アリーナはあまりに興奮していて、すべてをいっぺんに話そうとした。 「タクシーに乗ってる間に、パパは100回も電話してきたの。大声で怒鳴りちらしたり、すぐ帰れと送信してきたり」 「大丈夫。もうママと一緒よ」 わたしは娘を安心させると同時に、彼女の大胆さに驚いた。
「わたしは自由な人間なの」
アリーナは震えたままだった。わたしが抱きしめ、言葉をかけてもまだ足りなかったのだ。救急箱から鎮静剤を取り出してコップに水を注いだ。 「飲むといいわ。落ち着かなきゃ」 「わたしは自由な人間なの。わたしの家は牢獄じゃない。それに子供は10歳になれば、誰と暮らすか、自分で決めることができるはずよ」 少し自分を取り戻してアリーナが言った。 「普通なら誰と暮らすかは子供が決められるけど」 クリスティーナが話に加わった。 「あなたはお母さんが四方八方から政治的な理由で圧力をかけられていることは知ってるでしょ?」 ドアのカギを全部かけ、わたしたちはキッチンに座って幸福をかみしめ、そして笑った。一番恐ろしい試練は過去のものとなったように感じていた。 『「別の学校へは行きたくない!」...母親と再会した娘に襲い掛かるロシア政府の恐ろしい《怪物》』へ続く
マリーナ・オフシャンニコワ