千葉翔也

『８６―エイティシックス―』の主人公シンエイ・ノウゼン役をはじめ人気アニメに多数出演するほか、『アイドルマスター SideM』の秋山隼人役、『パリピ孔明』のKABE太人役などキャラクターソングも数多く担当する声優の千葉翔也が1st EP『Blessing』でソロアーティストデビューを果たした。全編アツいロックサウンドに乗せて、ハイトーンヴォーカルを響かせる同作では、千葉自身がリード曲「Blessing」と「I’ll be」の2曲で作詞を担当。ライヴ活動も見据えた作品に込めた想いを語ってもらった。 千葉翔也 インタビューのその他の写真

ソロアーティストデビューすることで当時の憧れにまた一歩近づけた

──これまでもキャラクターソングをはじめ音楽にかかわる活動などを行なってきて、この1月からソロアーティストデビューですね。 はい。僕が声優を志した時に憧れたのが、水樹奈々さんやGRANRODEOの谷山紀章さん、宮野真守さんなど、お芝居はもちろん楽曲リリースやライヴなどの活動されている方ばかりでしたから、当時の憧れにまた一歩近づけたのかなと思って嬉しいですね。 ──キャラクターソングとは違う自分らしさは、このEPのどんなところに発揮されていると感じますか？ このEPが完成して、歌詞の考え込んでいる感じとか、言い回しとか、勇気づける時の着眼点だったり、そういった部分にすごく自分らしさを感じました。もちろん自分の好きなサウンドだから音に好みが出ているとは思いますけど、実際に制作して浮かび上がってきたのは僕の内面という印象です。 ──これまで歌ってきたキャラクターソングとの違いや苦労した部分はありましたか？ キャラクターソングはそのキャラクターがしゃべっている声で歌うべきだと思っているので、喉を締めてしゃべるキャラクターなら喉を締めて歌うし、グループのキャラクターなら一声でそのキャラクターだと分かる要素を詰め込んでいくんですけど、今回は自分だけだから声を作ることを意識しないで歌えたことが大きいです。あと、今まではいろいろなテクニックを使ってキャラクターの色を出していたのですが、そこもだいぶ引き算されました。“ビブラードしなくていい”“しゃくらず普通に歌ってほしい”“ミックスヴォイスを使わず無理してでも地声で歌ったほうがいい”など、自分の中でイメージしていたものを引き算して抽出されたのが今作での僕の歌声になっています。 ──掘り起こした鉱石の外側をどんどん削っていって、最後に宝石が出てくるみたいな感じですね。 めちゃくちゃいい言い方をしていただいてありがとうございます（笑）。個人的な肌感だと、曲調に左右されることなく歌声が一本化されたと思ったのですが、視聴動画などで5曲聴いてくださった方からは曲によって結構声が違っていると言っていただくことが多いんです。“歌い方を変えなくても、曲ごとの内面が違うだけでこんなに大きく違ったように聴こえるんだ!?”と発見がありました。 ──1曲目の「I’ll be」とリード曲の「Blessing」で作詞をされていますが、千葉さん自ら作詞をしたいと望んだのですか？ はい。ソロデビューという大事なタイミングだからこそ自分の言葉で想いを込めることが必要だと思って、スタッフさんに相談して了承してもらいました。いずれは作曲という部分にも参加できたらいいなと夢見てはいますけど、自分で作るという経験をすることで作家さんに提供していただいたものを歌うことの意義がより生まれると思うので、最初から作詞をやらせてもらえて非常に良かったです。 ──事前に集めた楽曲から選曲されたとのことですが、募集した時のお題とかテーマみたいなものはあったのですか？ 僕が作詞をさせていただいた「I’ll be」と「Blessing」に関しては“ソロデビュー”という大まかなものがテーマで、自分がイメージしたアーティスト像にマッチした2曲を選ばせてもらいました。「Hi-Five!」と「WISH」は、わりと細かくイメージをお伝えして曲を集めていただいて。「感情論」は他の曲のご提案でいただいた曲で、テーマとは違うけどめちゃくちゃカッコ良くて気に入ったので、これもぜひ歌いたいと思って選びました。 ──「I’ll be」と「Blessing」はどっちがリード曲になってもいいくらいですね。 ありがとうございます。「I’ll be」は僕のアーティスト活動そのもので、視界の開けた空というイメージです。逆に「Blessing」は自分の内面にフォーカスした、部屋から一歩踏み出すための曲という感じです。どっちも自分らしいと思うんですけど、ソロデビュー曲にはその時にしかできないことがあると思うので、そういう部分で「Blessing」をリード曲に選びました。これはMV撮影や白い衣装からも感じたのですが、そこに“ソロデビュー”という言葉が1個乗っかるだけで、説明がなくてもいろいろな解釈をしていただけるなって。