宮藤官九郎&阿部サダヲ『不適切にもほどがある!』1話を考察
期待が募る ミュージカルキャスト
居酒屋のシーンで秋津が歌い出すのには一瞬面食らったけれど、宮藤の手掛ける舞台作品では、けっこうな頻度で人々が歌い踊ることを思うと、らしい展開だ。セリフで言い合い続けていたらしんどくなりそうなところを、歌に乗せて華やかに伝えることで、楽しい気持ちを保ったまま見ることができる。咲妃みゆ、後輩として登場する木下晴香とミュージカルで活躍する面々のキャスティングに納得もしたし、第2話ゲストである柿澤勇人の歌声に期待してしまう。 1話だけでもグッとくる1986年の描写が山ほどあった。『11PM』、『トゥナイト』、AXIAのメタルテープ、セーラーズ、『熱血硬派くにおくん』。セリフとして登場した尾美としのりやキョンキョンのポスターなど、宮藤が手掛けた連続テレビ小説『あまちゃん』を思い出すようなお遊び人選も含めて、今後の展開が楽しみだ。 ●番組情報 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS) 脚本:宮藤官九郎 演出:金子文紀、坂上卓哉、古林淳太郎、渡部篤史、井村太一 出演:阿部サダヲ、仲里依紗、吉田羊、磯村勇斗 他 プロデュース:磯山晶、勝野逸未、天宮沙恵子 主題歌:Creepy Nuts『二度寝』 ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。 ●オカヤイヅミ 漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。この2作品で第26回手塚治虫文化賞を受賞。趣味は自炊。 Edit_Yukiko Arai
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