伊勢谷友介との掛け合いは「必要以上に焚きつけさせてもらいました」若葉竜也が明かす『ペナルティループ』
4月から、『市子』でも共演した杉咲花との医療ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(フジテレビ系)もスタートする若葉竜也。2022年からの映画公開作を振り返った【後編】では、コロナ禍に出演を決めた異色作『ペナルティループ』への想いをたっぷり語ってもらいました。 【画像】若葉竜也さんの写真をもっと見る!
●一人の人間として興味がある「杉咲花」
――昨年末に公開された『市子』では、行方不明になった杉咲花さん演じる市子を捜し続ける恋人・長谷川を演じられました。それにしても、愛する人を失う役が多くないですか? 愛する人がいなくなる役って、精神的にもすり減っていくんで、やっぱしんどいなと思いますよ(笑)。 でも、『市子』で感情の赴くままとか、身体が反応するまま、ポーンと動けたんですよ。それで公開初日に、俳優仲間から電話がかかってきましたね。初日にかかってくるってことがやっぱ大きくて、それだけみんなアンテナに引っかかっていたと思うんですよ。 もちろん賛だけでなく、否の意見もありましたけれど、それもやっぱり初日なんです。そういうプロも無視できない作品に参加できたっていうことは、やっぱり役者をやるうえでの醍醐味ですよね。 ――若葉さんから見て、杉咲さんの凄さは? また現場の雰囲気はいかがでしたか? 杉咲さんは明らかにあの世代の中では、断然ぶっちぎってるというか、太刀打ちできないバケモノみたいな存在だと思いますね。まだ20代半ばで、あそこまで映画のセンスとか、芝居のバランス感覚みたいなものを持っているので、「この後、どうやって戦っていくんだろう?」って。 「杉咲花」という人間自体に、ものすごく興味があります。深刻なテーマを扱った作品でしたが、現場はそこまでヒリヒリとしている感じではなかったです。台本読みの段階から、戸田彬弘監督と一緒に話し合い、ときに発言しながらやっていく、とてもクリエイティブな現場でした。
●『ペナルティループ』を2本目の主演作に選んだ理由
――そして、最新作となる『ペナルティループ』では、最愛の女性の復讐を何度も繰り返す岩森淳を演じました。『街の上で』以来となる主演作に本作を選んだ理由は? その理由は二つあります。ちょうど出演のオファーが来たときって、コロナ禍で第2波、第3波で騒がれている中、戦争のことも含めた世界情勢など、いろんなニュースが飛び込んできた時期で、自分の中で発散できない閉塞感や怒りみたいなのがあったんです。撮影はあっても、発言一つ、アンタッチャブルなことが多すぎて、俳優も含めて、保守的になっていたし。 そんなときに、こんなめちゃくちゃな脚本が届いて、「一緒に作りましょう」って言われたら、「こんな状況をブッ壊そう!」と、何か手を差し伸べられたような気分だったんです。脚本を読み始めたときは「また孤独な役か!」って思ったんですけれど、今度は明らかに毛色が違いましたね(笑)。 ――そして、もうひとつの理由は? 映画に参加するときの自分のメンタル的には、主演とか主演じゃないとかは関係ないんですけれど、客観的に見たとき、『街の上で』の次の主演作は、誰も手をつけないような作品にしたいと思っていたんです。 最近は友だちから「竜也、あの映画に出てそう」と言われることが増えたし、「次、この俳優がやりそうな事」みたいなのを意地悪な視点で客観的に自分を観たりするんですけど、「だいたいこういう若葉みたいなタイプの次の主演作は、過激なベッドシーンのある作家性が強めの中規模よりちょい規模大きめの映画で、“問題作! ”とか破滅的な愛の物語とか言われちゃって、映画賞取っちゃう。ダサっ」みたいな(笑)……。そうはなりたくないなって。 そんなときに『ペナルティループ』に出会って、「あ、これだ」って。タイムループものとしての面白さ以上に、「こんなおかしい脚本、どんな人が書いているの?」という気持ちが強まりました。それで、すぐに荒木伸二監督に会ったんですが、やっぱり想像通りの人でした(笑)。