中井貴一「本当に面白かったんだよね」木梨憲武と初共演した映画を振り返る
TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、俳優・中井貴一さんと、とんねるず・木梨憲武さん。ここでは、お2人が初共演した映画「竜馬の妻とその夫と愛人」の話で盛り上がりました。
◆映画「竜馬の妻とその夫と愛人」で共演
木梨:(映画「竜馬の妻とその夫と愛人」では)その昔も映画には出たけど、本格的に映画という大きな舞台をやらせていただくのは初めてみたいなものだったから、“中井さんと2人でがっつりやるんだ。鈴木京香ちゃんと、江口(洋介)くんと4人でやるストーリーなんだ”って(気合いが入ってた)。市川(準)監督が「好きなようにやっていいから」「毎回(芝居が)違ってもうまくやるから」って言ってくれてね。 中井:僕が最初にお話を受けたときに、市川監督が「中井さん、実は主演をやるのが木梨憲武さんなんですよ。僕はどうしても、木梨さんが主演で映画を撮りたかった。それで“この作品がいけるんじゃないか!?”って思うので、ぜひ中井さんも一緒にやってくれないか」って。 僕も初めて(一緒に)お芝居をするので、すごく興味があったし、やっぱり僕たち同級生にとっては、木梨くんたちが「お笑いスター誕生!!」(日本テレビ系)に出ているときから、ものすごい強烈なシンパシーがあった訳で。あれは、いくつのとき? 木梨:最初に出たのは18歳。 中井:でしょ? 僕のデビューは19歳だから、だいだい一緒なんだよね。
◆中井「芝居をすると、その人の本質が見える」
中井:あの映画の撮影は、本当に面白かった。なんか……毎回やることが違ったじゃない(笑)? 木梨:まぁね。 中井:市川監督も、それをすごく楽しんでいたでしょ? モニターのところで、木梨くんがやることに一番笑っていたのが市川監督で、“毎回違うもの”っていうのを許してくれていた。 木梨:「ストーリーの展開さえ合っていれば毎回違ってもいいよ」って言われていたから、特に中井さんとの2ショットのシーンはそうだったと思う。 でも“違うことをやらなきゃ”と思っても3回目ぐらいで引き出しのパターンがなくなるから、結局「1回目のでどうでしょう?」「うまくつなぐわ~」なんて言いながらやらせてもらったから……ああいうスタイルしかできないんだよね。 でも中井さんは“今こういうシーンを撮っている”っていうのを台本通り、感情通り全部インプットしながらお芝居ができるし、俺のやり口を見ながら芝居してくれるから“え、そんなことを言うの?”みたいな顔も一切しなかったの。 だけど、撮り終わる頃に、中井さんに「よその(芝居の)仕事に行ったときは気を付けてね。このパターンはなかなかないから」って言われたんだよね(笑)。 中井:ハハハ(笑)。俳優さんでもいろんなタイプがいらっしゃるから、これがどこでも通用すると思わないほうがいいなと思って(伝えた)。 僕はいつも、ある意味で“良い加減”って言うんだけど、その場の雰囲気を良い加減に操ってくれる人と、自分の思ったことをそこでやりきるまで気が済まないパターンの俳優さんがいて。 木梨:なるほど。 中井:俺はどっちかっていうと“良い加減”にしたいのよ。だから、受けの芝居で“相手の良さが引き出せたらいいな”“ここの空気がよくなればいいな”と思ったりするから。 木梨:なるほどね。昔も、いろいろな合間の時間にそんなことを聞いていたような気がするわ。 中井:それが強烈なインパクトでね。芝居をすると、その人の本質が見えてくる。 木梨:ほう。 中井:芝居をしているときって、役をつかんでいるから素が晒されるのね。だから、僕は飯を食ったり酒を飲んだりするよりも、芝居をしたほうが相手のことが見える、たぶんあの1ヵ月半ぐらいで、もう強烈に木梨憲武の本質が見えた(笑)。 (TOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」放送より)