なぜ強豪クロアチアはあっけなく敗退したのか。攻守で露呈した限界と“黄金世代”以降の伸び悩み【コラム】
攻守ともにリズムがスローでインテンシティが低い
プレーリズムの遅さ=インテンシティの低さという弱点は、3試合で6失点を喫した守備にも反映されていた。最もきつかったのは、攻撃時に陣形が間延びしがちなため、ボールを失った時にカウンタープレスがかかりにくく、ネガティブトランジション(攻→守の切り替え)に問題を抱えていたこと。ロングボールのこぼれ球を拾われたところからカウンターを喫し、アルバロ・モラタに裏抜けを許したスペイン戦の1点目はその象徴だ。 自陣にリトリートしてのセットディフェンスも堅固とはいえなかった。データを見ても、被シュート数38(1試合平均12.7)、被枠内シュート数15は、いずれも参加国中下から1/4に入る悪い数字。最終ラインはボールに意識が向いてスペースを疎かにすることが多く、中央(CB間)にギャップが生まれてそこを狙われることが多かった。アルバニア戦の2失点はいずれも、そのギャップを埋めるべきMF(1点目はブロゾビッチ、2点目はモドリッチ)の戻りが遅れたのが致命傷になっている。 総合的に言えるのは、クロアチアのサッカーは攻守ともにリズムがスローでインテンシティが低く、そのペースに相手を巻き込むことができる時はいいが、逆にハイペースの展開を強いられると後手後手に回って綻びが生まれるということ。インテンシティとプレースピードが速いモダンなサッカー(今大会ならスペイン、ドイツ、スイス、オーストリアなど)に、やや置いてけぼりを喰らっている感もある。 その一端は、世代交代の遅れとその背景にあるタレント不足に求めることができるかもしれない。ロシアW杯準優勝をピークとする「黄金世代」は、マリオ・マンジュキッチ、イバン。ラキティッチ、デヤン・ロブレンらが去り、モドリッチ、イバン・ペリシッチも35歳を過ぎて衰えが隠せない。 しかし、ブロゾビッチ、コバチッチ、アンドレイ・クラマリッチという90年代後半生まれ、現在30歳前後の世代を最後に、欧州のトップクラブで主力として活躍できるレベルのタレントは生まれていない(唯一の例外はヨシュコ・グバルディオル)。 ロブロ・マイエル、ヨシップ・シュタロといった20代半ばの中堅世代が伸び悩んでいる(この2人は今大会の大きな失望だった)現在、バルティン・バトゥリナ、ルカ・スチッチら00年代生まれの新世代に命運を託し、思い切った世代交代に踏み切る時期がやってきたのかもしれない 文●片野道郎
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