『進撃の巨人』エレン役・梶裕貴が役を演じる中で知った「自身の意外な性格」
2004年にデビューしてから約20年、数多くの作品に出演しさまざまな賞を受賞、第一線で活躍し続けている人気声優・梶裕貴さん。2023年には『進撃の巨人』エレン・イェーガー役を10年間務め上げ、その声優人生の半分をエレンと共に歩んだことでも話題になった。 【写真】梶裕貴さんが今語る「『進撃の巨人』エレン・イェーガーと自身の共通点」とは そんな梶さんが2024年4月6日(土)深夜2時より放送のTVアニメ『となりの妖怪さん』で、20年間猫として生きた後、突如「猫又」に新生し、第2の生を歩み始めることとなった長寿猫・ぶちおの声を務める。 この作品はnohoさん原作の同名漫画をアニメ化したもので、妖怪と人間と神様がともに暮らす町の“ふしぎで優しい日常”を描いた物語。 住人たちと交流しながら「なぜ妖怪になったのか」「僕には一体何ができるのだろう」と悩み“自分の本質”を探し求めるぶちおの姿は、20年間走り続けてきた梶さんの目にどのように映っているのだろうか? 声優以外のお仕事にも挑戦するなど多岐にわたって活動を続ける梶さんに、様々な役と向き合うなかで気付かされた自身の「意外な性格」やぶちおとの共通点、芸歴20年を経てもまだまだと感じる部分などについて語っていただいた。
やればやるほど自分に近かったエレン・イェーガー
――声優として長いキャリアを持つ梶さんですが、役との向き合い方はどのようにされているのでしょう? 役を通して気づかされることなどはありますか? そうですね。たとえば『進撃の巨人』。僕はこの作品でエレン・イェーガー役を演じさせていただきましたが、はじめて原作に触れたときは、他のキャラクターのほうが自分に近いかなと思っていたんです。 ところがオーディションでは、エレン役でご指名をいただいて。そのときは「これまでに演じたことのないタイプかもな」なんて思っていたんですが……いざ収録がはじまってみると、やればやるほど自分に近いなと感じられてきて(笑)。感情の種類としては"怒り"をエネルギーにして生きているところなど、すごく理解できるなと感じましたし、許せないことは許せないと、自身のなかの正義を貫くところや、信念を踏みにじられることに対する抵抗の気持ちにも共感しましたね。 つまりは、自分が本来持っている性質と、ものすごくシンクロしたキャラクターだったんです。だからこそ、きっと選んでいただけたのでしょうし。自分でも気づいていなかったような奥深いところまで見抜かれていたスタッフさんは、本当にすごいなと思います(笑)。 ……って、もしかしたら気づいていなかったのは自分だけで、周囲にはずっとそのように映っていたのかもしれませんけどね(笑)。 ――演じるうえで、役への共感を重視する人と、そこはあまり意識しないという人がいます。梶さんはどちらのタイプですか? もちろん、僕の中にも両方ありますよ。ただ、せっかく声を担当させていただく以上、なるべくなら、共感できる部分や自分との共通点を見つけられたらなと工夫しています。ときには見つけられないこともありますが、シンパシー(自分の立場から相手の感情に同調すること。同感)とエンパシー(相手の立場になってその人が何を考えているのか想像すること。共感)の違いといいますか、まずは"理解すること"が大切なのではと考えています。