ツノで刺されるなどの ″人身事故″が昨年比2・5倍と急増!″名物″奈良公園のシカ「狂暴化の謎」
何に怒り?シカが狂暴化の訳
奈良公園といえばシカ。日本だけでなく、世界にも認知され、インバウンド客が押し寄せているそんな関西有数の″名物″に異変が起きているという。 【画像】すごい迫力…! 奈良公園の"シカ"が凶暴化する「瞬間写真」 「シカにツノで刺される、体当たりされる、噛まれるなどの被害が増えています。この9月は実に43件も報告されている。これは昨年同月の2.5倍です」(奈良県庁まちづくり推進局の担当者) あの愛らしい、そして哀しげな瞳を持つシカが狂暴化しているとは――彼らは一体、何に怒り、何を訴えているのか。FRIDAYアニマルミステリー班は真相を確かめるべく、奈良公園へ向かった。 公園へ入りまず目に入ってきたのは、丸々と肥えた雄ジカたち。1頭が「キューン」と甲高い鳴き声を上げ、突如、近くにいたシカと小競り合いを始めた。記者の横にいた女性は一目散に逃げだした。 「9月下旬から11月ごろまで、シカは発情期なんです。キューンと鳴くのは、雄の求愛行動。この時期は鹿せんべいをあげようとしただけで、体当たりされてしまう人が多いんです」(鹿せんべいの売り子女性) だが、シカに発情期があるのは毎年のこと。今年に入って被害が急増しているのはなぜなのか。「奈良の鹿愛護会」担当者の分析を聞こう。 「インバウンド需要が回復し、今年は海外から団体旅行で来られる方が非常に多くなっていました。しかし海外のツアーガイドは、秋のシカがいかに危険か参加者に伝えられていない。だから不用意に近づき、シカに襲われているのです」 スマホ時代ならではの要因もあるという。前出の県庁の担当者が呆れる。 「シカにこんなに近づけた! と接写した動画や写真を投稿するのが流行しているんです」 投稿を見て、シカに簡単に近づけると勘違いした面々が、荒ぶるシカの餌食となっているのだ。 神の使いとして親しまれてきた奈良公園のシカだが、野生動物であることを忘れてはいけない。全日本鹿協会事務局長の小林信一氏が警鐘を鳴らす。 「秋の雄ジカはツノも硬く、死亡事故につながる危険性もある。発情期には不用意に近づかないのが賢明です」 共生について、今一度考える時機が来ているのかもしれない。 『FRIDAY』2024年12月13・20日合併号より
FRIDAYデジタル