【脳科学者が教える】部下や仕事相手のポテンシャルを引き出すコミュニケーション術とは?
人が自分の力を最大限発揮するためには、「脳」のコンディションが重要だった! 自分のためにできる脳ケアを紹介した記事に続き、「誰かの脳のためにできること」を紹介! 身近な人が脳のポテンシャルを最大限発揮できるようになるコミュニケーション術を、脳科学者の毛内拡先生にお伺いしました。 【画像】メンタルヘルスを整えるアイデアまとめ
大事なのは「粘り強いコミュニケーション」
毛内先生:まずお伝えしなければならないことがあります。私が研究している「脳科学」という学問はひとつの個体の中で脳がどう動くかを探るものです。他者と社会を作ったときに脳がどうなるか、というところまではまだ研究できていないんです。 脳には3つのゲートがあります。 1つ目は感覚。音がうるさいとか光が眩しいとか、そういうものを感じ取るゲートです。 2つ目は予測。今までの経験や記憶から、出来事、もっというと世界を解釈するゲートです。脳は体に入ってくる刺激を、一度経験や記憶を踏まえて解釈し直しているんです。 3つ目は発露。最後にそれを表に出すかどうかというゲートです。 同じ音を聞いても気にならない人もいれば、うるさいと感じる人もいる。経験や記憶は人によって異なるため、予測も解釈も人によって異なります。そして、どんなに悲しいことがあっても、まったく泣かない人もいれば、ちょっとしたことで大笑いする人もいますよね。 この3つのゲートについて、脳科学的に言えることは、まったく同じ出来事が起きても、人によって受け取り方や発露の仕方は違う……ということです。つまり、「脳科学的に他者との関わりを考える」ということは、「相手がどう受け取るかはわからない」「わかり合うのはそもそも無理だ」という大前提を持つ、ということなんです。だからこそ、粘り強いコミュニケーションが必要なのです。 それを踏まえて、他者の脳を喜ばせる方法を考えるとき、大事になってくるのが、まずは「自己効力感」だと思います。自己効力感とは、「自分は何かができる・達成できる」と思えること。こちらからのアプローチで感じてもらうことができ、誰の脳にとってもいいことです。 そして、粘り強いコミュニケーションの大きな助けになる「心理的安全性」、脳を活性化させる効果のある「新奇性」も大事だと思います。 この3つをキーワードに「誰かの脳を喜ばせる、粘り強いコミュニケーションの方法」を考えていきましょう。