BMWのM、メルセデス・ベンツのAMGに新たな刺客、「N」とは一体何者か? ヒョンデ「IONIQ 5 N」の超実力
さらに、モータートルクを制御することで通常の変速機のようなシフトダウンを体感できる「N e-シフト」、ドリフト走行が容易に楽しめる「Nドリフトオプティマイザー」、最大加速性能でスタートできる「Nローンチコントロール」、車内外のスピーカーでエグゾーストノート(を模したサウンド)を流す「Nアクティブサウンド・プラス」……と、機能についても枚挙にいとまがない。 ■「10秒のあいだ最高出力をしぼりだす」NGB
乗った印象は、BEVというより“IONIQ 5 Nという唯一無二の乗り物”という感じ。一言でいえば、素晴らしく楽しい。 サーキットでは、多気筒エンジンの高性能車もかくやの速さで走り、疑似エンジン音は、考えていた以上にドライブする私の“ヤル気”を鼓舞する。 ドライブモードは「ノーマル」「エコ」それに「スポーツ」が選べ、各モードで走りのキャラクターは、がらりと変わる。 最終コーナーをまわってホームストレートに入ると同時に、ハンドルのコラムに設けられた赤い「NGB(Nグリンブースト)」ボタンを押してみると、先に触れたとおり一瞬でパワーが上がる。
通常は448kWの最高出力と740Nmの最大トルクが、NGBをスイッチオンすると478kWと770Nmに跳ね上がる。「ロケットのブースターってこんな感じだろうか」と思うような加速で、クルマがストレートを駆けぬける。 おもしろいのは、NGBは1回に10秒しか使えないこと。メーター内に「10、9、8……」とカウントダウン表示が出る。サーキットで相手を抜こうというとき、これを参考にしながら、赤いボタンを操作すればよいのだ。
今回の試乗会では、サーキットの駐車場の広い一角に散水して、「Nドリフトオプティマイザー」を試すチャンスも与えられた。 ボンッと強めにアクセルを踏んで“きっかけ”を作ればよい。前輪を軸にリアが外に出ていくドリフト状態になった瞬間、アクセルペダルを踏んでいる力を少しゆるめてやる。 おしりでクルマが滑っているのを感じながら、軽いアクセルペダル操作でドリフトが続けられる。これはおもしろい。 一般道では、「日本向けは、道路の段差を越えるときなどで、しなやかな乗り心地をねらいました」と前出のワルテンバーグ氏が言うとおりで、硬すぎず、よくできたGT(グランツーリスモ)というべき乗り味が堪能できた。大人5人が乗っていられるパッケージングで、無敵感がある。