「103万円の壁」引き上げ幅が焦点に…総合経済対策、「トリガー条項」解除の文言は含まれず
政府が決めた総合経済対策で、国民民主党が求める「103万円の壁」の見直しについて、「(年末に取りまとめる)2025年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記した。国税の所得税がかかるようになる年収103万円超は、基礎控除(48万円)と給与所得控除(最低55万円)という減税措置の合計額で、今後は控除の引き上げ幅が焦点となる。大幅な税収減につながりかねない課題だけに、議論の行方が注目される。 【図】一目でわかる…「103万円の壁」の見直しを巡る与党と国民民主党との駆け引き
国民民主は、所得税の課税最低限が現在の103万円になった1995年から、最低賃金が1・73倍に伸びたとして、103万円を178万円にすべきだと主張する。政府は、基礎控除を差額分の75万円引き上げると、国と地方で合計7兆~8兆円程度の税収減を見込む。
与党の税制調査会幹部は「引き上げ幅は物価上昇率を参考にするのが基本だ」と話す。大和総研の是枝俊悟主任研究員は、同じ期間に物価が約10%上昇したとし、「課税最低限を103万円から10万円程度引き上げる考え方もある」と指摘する。
一方、ガソリン減税について、対策では、国民民主が衆院選で強調したガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除を巡る文言は含まれていない。「(来年本格化する)自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」としており、決着は来年末にずれ込む可能性もある。