角田裕毅の7位入賞に「なんて速さだ」エンジニアも大興奮 「メルセデスAMGと互角に戦えるなんて...」
【RBは実力で4番手を争うチームになっていた】 スプリント予選では、1アタックでSQ2をクリアするという戦略が裏目に出て、角田は脱落してしまった。だがそれでも、スプリントレースではホンダ勢として2015年のF1復帰から初めてとなる4台入賞を果たすことに成功した。 角田は決勝でもミディアムタイヤで好ペースを維持し、新品ハードに換えたヒュルケンベルグと同等かそれ以上のペースで走り、ギャップを縮めさせなかった。 仮にセーフティカーが出なかったとしても、後半は20周フレッシュなタイヤで易々と抜いて引き離すことができたはずで、8位入賞は間違いなかった。 セーフティカーの恩恵は、メルセデスAMG勢の前に出られたことだ。ハミルトンを抑えることはできなかったが、タイヤが4周古いラッセルよりも角田のほうがペースが速く、最後まで危なげなく単独走行で7位フィニッシュを果たした。 マイアミGPのRBは、実力で4番手を争うチームになってみせたのだ。 「今までは届かなかったメルセデスAMGやアストンマーティンに対して、ペースで彼らを上回ってこの結果を手にすることができたのは大きかったと思います。セーフティカー後もメルセデスAMG勢を相手に落ち着いてタイヤマネジメントをしながらうしろをどんどん引き離していったので、裕毅のレースの組み立ても非常にうまくなったなと感じました」(ホンダ折原伸太郎エンジニア) 上位勢と戦える可能性は、角田も感じている。開幕から6戦の間にマシンのアップデートが次々と進み、着実にパフォーマンスが向上してきているからだ。 「チーム全体がクルマの開発をどれだけプッシュしているかが結果に表われていると思いますし、今回のアップグレードがなければここまでの結果は出せていなかったと思います。シーズン序盤に比べると、メルセデスAMGと互角に戦えるクルマになるなんて想像もしていなかったので、本当にとてつもないスピードでマシン開発が進んでいると思います。
チームが一丸となってシーズン序盤からずっと開発を続けてきたからこその結果ですし、今日はメルセデスAMGの1台よりも速かったくらいで、このまま前進を続けていけば(ランキング)5位も見えてくるかもしれないと思います」 マシンも、チームも、そしてドライバーの角田も、急速に成長を遂げている。荒れたレースでチャンスが巡ってくれば、まさに初優勝を挙げたノリスのように、今の彼らならしっかりと掴み取ることができる。 これからの戦いとさらなる成長が、また一段と楽しみになってきた。
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki