【渾身インタビュー】森永卓郎の ″魂の叫び″「まだ死ねません!日本株はすぐに暴落します!!」
「がんを公表した昨年末は、『来週くらいには死ぬだろう』と覚悟したけど、今は食欲もあるし、出演しているラジオのレギュラー番組は5本で、連載も19本抱えてます」 【画像】やつれた印象だが"森永節"は健在…! 森永卓郎の渾身インタビュー写真 そう語るのは、昨年12月末にステージ4の膵臓(すいぞう)がんであることを公表した経済アナリストの森永卓郎(66)だ。さすがに多少やつれた印象だが、喋(しゃべ)り始めると″森永節″は健在だった。 「昨年11月に人間ドックを受けた際に影が見つかったんです。その後、何度か検査を繰り返し、おそらく膵臓がんだろうと。主治医からは、『たぶん、来年の桜は見られないかも』とも言われました。ただ、半信半疑だったので、サードオピニオンまで聞いたんです。結局、プロ中のプロ3人が同じことを言うんだから、信じるしかないな、と。で、12月の27日に抗がん剤を打ったんですね」 ところが、この薬が合わなかった。 「前日まで普通に歩いて普通に喋ってたんだけど、それが抗がん剤を打った2日後には、立てなくなり、食べられなくなり、思考もできない状態になっちゃった。その時は本当に、三途の川がはっきり見えるような状態になってましたね」 この時期、森永は著作『書いてはいけない~日本経済墜落の真相』(三五館シンシャ)の執筆作業に取りかかっており、9割近く書き上げていた。 「完成させようと思ったんだけど、思考能力がないし、手も動かない。困ったなと思ってた。でもその何日か後に、別の薬を打ったら、劇的に元気になったんですよ。それで頭と口が動くようになった。ベッドの上で続きを喋って録音し、それをIT技術者の次男がテキスト化してくれて、本として完成したんです」 ◆「書き上げるまでは死ねない」と この本は、昨年出版された『ザイム真理教』の続編ともいえる内容で、政治家や官僚、さらには芸能プロに対し、忖度しすぎるがゆえに真相を報じられないメディアの姿勢を批判するとともに、その理由を赤裸々に明かしている。 「発売が3月7日だったんですよ。初版の発行部数4万部と勝負に出たので、版元の社長が『さすがに震えた』と言ってましたが(笑)、すでに4回増刷して現在7万5000部になってます。医者に言わせると、モノ食っていて死んだヤツはいないと言うんですね(笑)。逆に、生きる希望というか、使命感みたいなのがなくなると、死んでしまう。つまり『もういいや』と思った瞬間がおしまいなんです。私はこの本を何がなんでも出さなくてはならない、という強い欲求があったので、死ねなかった。心に何もないと『もう死んじゃってもいいや』と思いがちなんです。だからそういう支えのようなものがあったほうがいいですね」 ◆月100万円くらいかかってます ラジオ番組の生放送を終えた直後、疲れた表情も見せずに語る森永。ちなみに公表した当初は膵臓がんだとみなされていた森永のがんだが、現在は原発不明がんだと診断されている。 「いろんなお医者さんに聞いたんだけど、がんがどこにあるかわからない、ということなんです。ただ、原発不明がんになるとオプジーボという抗がん剤を保険で打てる。がんには胃とか膵臓とか、それぞれの抗がん剤があるんだけど、私の場合、どこにあるかわからないのでそれは打てない。全体に効くオプジーボを打ちながら、免疫療法といって、血を抜いて、私の免疫細胞を培養して戻すという治療をする。この後、その治療を受けに行く予定なんですけど、この治療が保険適用にならない。だから月100万円くらいかかっているんですよ」 やたらと金銭の話が出てくるのが、エコノミストらしい。それでも、日本経済を心配する思いは変わらない。 「このままほっといたら、日本は10年以内に世界GDPランキングのベストテンから落ちてしまうと思います。30年くらい先には、もう完全な発展途上国になってしまうでしょう。例えば、熊本に台湾の『TSMC』の工場を誘致したじゃないですか。『TSMC』はアメリカにも造ってるんですよ、それも最先端の工場を。日本のほうは汎用品を作る工場なんです。そうした状況もわからず、メディアも政治家も『熊本に半導体の工場ができて喜ばしい』なんて言ってる。アホか! と思いますね」 森永によると、今はけっして株を買ってはいけない時期だと言う。 「日本株はいずれまたすぐに暴落しますよ。だから、私は今月に入って、株を売っちゃいました。まあ全部、治療代で消えてしまいますがね(笑)。新NISAですか? あれは絶対にやってはダメ。アメリカの株価は今最大のバブルになっていて、もうすぐ弾けますから。ギャンブルならともかく、老後の資金や生活費を回すのは危険です」 でもまだ希望はあると言う。 「経済再生の道はきっとあると思います。そのためにも真実を知る勇気をメディアにも持ってほしい。″三途の川″を見た人間の言葉ですよ」 『FRIDAY』2024年4月5・12日号より 取材・文:小泉カツミ
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