PUBのトイレにも“小さなフットボール”が!短い滞在でも堪能できる世界一の蹴球タウン「ロンドン」を探訪【WSD編集長コラム】
おすすめはスタジアム巡り
限られた時間のなかで、ロンドンという世界屈指のフットボールシティをどう堪能するか。 真っ先に思い浮かんだのが、スタジアム巡りだ。外観だけでも見る価値はあるだろう。しかも好きな時間に行って、戻って来られる。どれだけ回れるかわからないが、思い立ったが吉日。チェルシーのスタンフォード・ブリッジが近くにあるのは把握していたので、金曜早朝、目覚めてすぐにグーグルマップで探ってみると、思っていた以上に近く徒歩圏内だと判明。ロンドンらしく小雨が降っていたが、朝8時にカメラ片手に飛び出した。 高級住宅地を抜けて15分ほど、突如目の前に現われたスタジアムは、やはり近くで見ると壮大で迫力がある。平日の早朝だったこともあってひと気はなく、周りは思いのほか静かだった。 思わず胸が高鳴ったのは、スタジアム周辺の一角に、ヴィアッリやドログバ、ランパード、ゾーラ、テリー、デサイー、チェフらレジェンドの写真が並べられた50メートルほどの豪勢な通りを発見したからだ。誰もいないので写真も取り放題。贅沢な時間だった。 翌日土曜も早朝にホテルを出発した。目指したのはフルアムのクレイブン・コテージだ。アールズ・コート駅から地下鉄でわずか9分のパットニー・ブリッジ駅で下車し、テムズ川沿いを歩くこと10分、スタンフォード・ブリッジとはまた違う趣のスタジアムが遠くに見えはじめる。 そこからさらに10分ほど進み、緑豊かなビショップパークを突っ切ると到着。レンガ造りのゲートは古色蒼然とした雰囲気で、歴史の重みと伝統を感じさせた。 それにしても、便利な世の中になった。スマホを駆使すれば、迷うことなく目的地まで連れて行ってくれる。その意味でも必須と言えるのが、グローバルWi-Fiだ。出国前に空港でレンタルできるので、事前予約することをおすすめする。 プランや契約する会社次第だが、1日あたりの使用料金は旅行先が英国なら2000円前後が相場。安くはない。ただ、スマホを必要なタイミングで使えるかどうかは死活問題だけに、持ち物リストに書き加えておくべきだ。 取材の間隙を縫ってもうひとつ訪れたスタジアムが、アーセナルのエミレーツ。ぎりぎりツアーに参加できる時間帯だったため、オンラインでチケットを購入。16時のラストエントリーにどうにか滑り込んだ。料金は30ポンド(約5400円)。日本語の音声ガイドもあり、アーセナル・サポーターは十分に満足できるだろう。 土日の取材で訪れたブレントフォードとトッテナムのスタジアムもカウントすれば、今回、巡ることができたのは計5会場。滞在期間を考えれば、上出来も上出来だろう。 最後に物価についても触れておきたい。円安の影響もあり、旅行者にとっては決して快適とは言えない物価水準になっている。感覚としては、すべてが日本の2~3倍。500ミリリットルの水は250円、マクドナルドのセットは2000円ほどだった。 ホテルもロンドンの比較的中心部に近いエリアなら、1泊2万円は下らないだろう。滞在したアールズ・コートのホテルは約2万7000円だった。それでもビジネスホテルのような狭さで、床にスーツケースを広げると足場がなくなり、過ごしにくかった。冷蔵庫などは当然ない。ただそれでも、また来たいと思わせる魅力がある。 改めて痛感したのは、ロンドンという街とフットボールの強い結びつきだ。週末のマッチデーは空気が、音が、景色が変わる。スタジアム周辺には露店が並び、フットボールモード全開だ。パブでは愛するクラブのユニホームを纏ったサポーターたちが、週に一度訪れる非日常を思い思いに楽しんでいる。そしてどこからともなく、チャントが始まるのだ。 短い滞在でも、ロンドンの醍醐味は存分に味わえた。 取材・文●加藤紀幸(ワールドサッカーダイジェスト編集長) ※『ワールドサッカーダイジェスト』2024年2月1日号より転載
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