「物資の補給路」海を制する者が勝利する【朝鮮日報】
素早い海軍動員でノルウェーを占領して鉄鉱石を確保したドイツは、道を逆行した。大々的にソ連に侵攻した後、陸上戦に没頭していたヒトラーは、海軍提督の助言を無視して「現代戦は空軍が重要なのであって、大型の戦艦がなぜ必要なのか」と怒鳴った。ドイツ海軍が総統から冷遇されて輝きを失った結果は、冷酷だった。枢軸国は地中海を渡って補給を届けることすら困難になった反面、英国は、喜望峰を回っていってスエズ運河を通過するという遠回りのルートではあるが、補給路を失うことはなかった。 「砂漠のキツネ」と名付けられたドイツの将軍ロンメルが英国の将軍モントゴメリーに押された理由は、まさに劣悪な補給のせいだった。北アフリカを失った枢軸国は、43年には連合軍のシチリア上陸を許し、胸倉をつかまれる格好となった。一方、防御よりも攻撃を高く評価する伝統を持つ日本海軍は、米潜水艦の攻撃に対して無力で、戦争の終盤には日本本国と東南アジアを結ぶ補給路がほぼ遮断された。補給は戦争の鍵であり、それを守ってくれるのは海軍力だった。 著者は、連合国が全地球的対決で勝利した三つの要素として「英国人の不屈の意志」「ソ連赤軍の回復力」、そして「米国を中心とした海軍の優位」を挙げた。生命線も同然の連合国の補給路を最終的に守ったのは米海軍だったが、その背後には、枢軸国の攻撃で沈められた船よりも多くの船を常に作り続けた生産力があったのだ。 詳細な情報を大量に盛り込んでいる浩瀚(こうかん)な書籍だが、多少つじつまが合わないように思える部分もある。例えば80ページの脚注では「真珠湾の戦い(1941年12月)が終わった直後から、英国軍に代わって米軍がアイスランドに駐屯した」となっているが、282ページの本文では、米軍のアイスランド派遣の時期を41年6月と記している。原文と翻訳文、どちらかの間違いなのかは明らかでない。1024ページ、5万3000ウォン(約5800円) 兪碩在(ユ・ソクチェ)記者