世界の平和構築には意思決定層に女性が必要 国連3委員会の最新動向報告
貧困・暴力・環境と課題多
大崎氏は「合意結論の中で皆様にとっても重要なのは『安全性の確保』。世界中で女性団体や女性の人権活動家に対して、さまざまなハラスメントや威嚇行為がなされている。サポート、資金の拡充などが予想より詳細に入った」と述べた。 秋月氏が副議長を務める国連女性差別撤廃委員会は、国連差別撤廃条約の進捗状況を監視するために設置された。締約国(現在189カ国)は4年に1回、実施状況の報告書を委員会に提出。委員会は対面で対話し、総括所見を出す。「最近の報告書の審査では、高齢女性の貧困とケアワーク(家事や育児、介護、看護など)、ケアエコノミー(ケアワークに関する経済活動)の議論が増えているように思う」と秋月氏は指摘した。 委員会は一般勧告「意思決定システムへの女性の平等かつ包括的な参加」を10月に採択予定。秋月氏は「世界が不安定化して環境破壊が大きくなったのは、これまでの男性による意思決定メカニズムが間違っていたからだ。女性が意思決定層に半分以上入ることによって平和な世界を実現しなくてはならないという認識で作られている」と解説した。 女性差別撤廃条約の実効性を高めるために女性の権利侵害事例について国連への個人通報を可能にする「選択議定書」を日本政府が批准していないことが長く問題となっている。国際女性の地位協会の山下泰子名誉会長は、地方議会に批准を求める意見書を採択してもらう運動を展開していることを紹介。「現在、全国266議会で採択され、地殻変動が起きている。政権を動かさなければならない」と呼びかけた。
山田道子・ライター