横浜でぜひ食べたい絶品「江戸前鮨」と「中華街」のお宝ワンタン
「清風楼」もその一軒で、私は今から30年前ほど前に「清風楼」の上ワンタンを食べて感動したひとりで、当時、週刊誌の「週刊現代」のグラビアページ「うまいの、なんの!」でも紹介したほどである。 「清風楼」といえば、まず名前が挙がるのが、“シウマイ”だが、それに並ぶ知る人ぞ知る一品が“上ワンタン”。澄みきったスープの中に、雲呑がそれこそ数えきれないほどゴロゴロと入っている。トロリとする皮に肉がわずかに入っている雲呑ではなく、肉が透けて見えるほどの薄皮に練り肉の塊りがくるまっている。 口に含むと、まず、ツルンとした薄皮が溶け、歯ごたえ十分の練り肉が姿を現す。噛めばジューシーな肉の味がこぼれ出す。これが化学調味料に頼らぬ、練り肉の滋味に溢れたもの。ここへ淡いスープを流し込むと、まるで竜宮城へでも誘われたみたいになる。 この春の行楽シーズンにぜひとも出かけていただきたい一軒である。そして、お土産には、「シウマイ」を忘れずに!
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
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文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)