米で話題の台湾、韓国プロ野球。ESPNは韓国プロ野球の放送権獲得交渉も…NPBも追随できる?!
米国のスポーツファンは、自国のスポーツが中断している期間、新型コロナウイルス感染を抑えて先に開催できている海外スポーツリーグに目を向けるだろう。これまで米国のプロスポーツは、世界に向けて試合を発信することで大きな利益を得ていたが、一時的であっても逆の流れが起きる可能性はある。 そして現実に起こってもいる。 台湾プロ野球をライブ配信しているイレブンスポーツ台湾は、海外市場を意識して英語での中継も行っている。同社のマーケティング・マネジャー、クリス・ワンさんは筆者のメールでの取材に対し「先週(開幕第1週)、英語で放送された台湾プロ野球は、ツイッター上で500万近くのビューがありました」と回答。 前年度の視聴数との比較はできないが、世界の野球に先駆けて開幕することを受けて、急遽、準備をした英語による放送は、大きな成果を挙げているといえる。 米国のスポーツファンが、台湾プロ野球を見ていることを受けて、米スポーツ専門局ESPNも動き出した。ESPNは、5月5日に開幕予定の韓国プロ野球の放送権を得るために、交渉をしている。ただし、韓国のヨンハプニュースによると、交渉は難航している様子。ESPN側が、放送して得た利益を、後払いで支払うことを求めているからだという。 今後、交渉がどうなるか分からないが、英語の実況や解説をつけて米国向けに報道すれば、一定の視聴者を獲得できることは間違いなさそう。台湾、韓国のプロ野球ともに、無観客試合が続いているが、海外からの新たなファンの獲得は、財政や気持ちの穴をわずかであっても埋めてくれるものになるだろう。 スポーツ観戦の楽しみにはいくつかの要素がある。次の瞬間には何が起こるか分からないという「不確実性」、特定のチームや選手に肩入れして応援する「心理的つながり」、観戦しているだけで「あたかも自分がやっている感」と、常人にはできない「卓越性」や「美しさ」。 今、米国のテレビは過去の名試合の再放送をしているが、これには「不確実性」がない。現役選手が、ボールをコントローラーに持ち替えてのオンラインゲームも見せてくれているが、見る側にオンラインゲームの経験がないと「あたかも自分がやっている感」が味わえないし、プロのeスポーツプレーヤーではないので「卓越性」にもやや欠ける。 海外スポーツの視聴は、選手やチームについての予備知識に乏しく、心理的なつながりに欠けるだろうが、ライブの「不確実性」はある。それに台湾のバスケットボールや野球、韓国、日本のプロ野球にも、米国人選手やコーチはいて、彼らをとっかかりにして肩入れすることもできるだろう。