【独自】岡山・操山高生自殺 一転して見舞金全額支給 JSC、例外規定の適用で判断覆す
2012年7月に操山高(岡山市中区浜)野球部の男子生徒=当時(16)=が自殺した問題で、学校での災害共済給付制度を運営する独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC、東京)が遺族に対する死亡見舞金について、いったん不支給とした決定を撤回し、請求額2800万円の全額支給を決めたことが30日、関係者への取材で分かった。 この問題は21年3月、有識者による第三者委員会が生徒の自殺は当時野球部の監督だった教諭の不適切な指導が原因だとする報告書を公表したのを受け、遺族が22年10月に見舞金の支給を申請。JSCが23年7月、「高校生の故意の死亡には支給しない」とする規定に基づき不支給としたのに対し、遺族側が同10月に不服審査請求をしていた。 給付制度は精神障害などを念頭に「自死行為またはその結果に対する認識がない場合は故意とはみなさない」との例外規定がある。関係者によると遺族側は今回、「男子生徒が当時、正常な精神機能を失っていた」とする複数の精神科医の意見書を追加提出。JSCはこれを踏まえて例外規定を適用し、「故意の死亡には該当しない」と判断を改めたもようだ。 支給決定は20日付。生徒の父親は「決定は当然のことと受け止めつつ、安堵(あんど)もしている。息子の自死と野球部監督の指導との因果関係をJSCが認めたことは意義深いと感じる」とコメントした。JSCは30日の山陽新聞社の取材に対して「個別の案件には答えられない」としている。 給付制度は現在、16年4月以降に発生した事案について支給対象とするよう規定が改正されている。操山高以外では、愛知や福岡県の高校生が自殺した際に不支給の決定が覆ったケースがある。