[新型カムリ]は優しい顔で復活!? 3代目は最も高級路線な1台だった!! カムリで見る日本の変化
■優しいカムリでぜひ復活を!
平成の初期、カムリクラスのクルマには、個性があまり必要なかったように思える。主はあくまでユーザーにあり、それに従うのがクルマの役割だった。クルマは生活や風景に溶け込む必要があり、気持ちをリラックスさせてくれる存在であっただろう。 また、周りのクルマに合わせるというのもカムリの役割の1つだった。カローラ・マークIIに挟まれながら存在を潜め、目立ちすぎないことがカムリの流儀だったはず。出る杭は打たれてきた時代背景を、反映したクルマに映る。 対して令和のカムリは個性の塊だ。マークXが消え、日本のセダン復権を課せられたカムリは、存在を強めるしか生き残る道が無かった。あの無味無臭だったカムリが、非常に濃い味付けになっている。様々なものが沈みゆく時代には、高揚感のあるクルマが必要だったのだろう。 どちらの元年モデルも、ボディカラーのメインバリエーションは7色で落ち着いた色が多い。ただ、赤や青の色味が大きく違う。平成モデルはダークレッドマイカとブルーマイカ、対する令和モデルはエモーショナルレッドとダークブルーマイカメタリックである。 塗装技術の差はあるが、明らかに令和の方は発色が良く元気がイイ。経済成長著しい時代には暗く落ちついた色のクルマが売れ、世の中に元気がなくなるとビビット色のクルマが売れるとよく言うが、元年モデルのカムリを見比べると、その通りだなと納得できた。 時代に合わせて変化を続けてきたカムリの変遷を見ていくと、日本がどのような状況になっていたのかが手に取るようにわかる。現在カムリは日本市場から撤退してしまったが、次に生まれてくるときには、また「優しい・柔らかい」カムリに戻っていることを、願わずにはいられない。