8インチSiC基板を量産…住友鉱山系、鹿児島に設備
住友金属鉱山子会社のサイコックス(東京都港区、清水康也社長)は、8インチ貼り合わせSiC(炭化ケイ素)「サイクレスト」の量産ラインを新設する。大口工場(鹿児島県伊佐市)に構築し、自動車向けなど大口径基板のニーズに対応する。投資額は数百億円とみられる。2025年度下期に、貼り合わせSiC基板の月産能力として6インチ換算で1万枚超えを目指す。ライセンス供与先に対し、多結晶SiC支持基板の供給も開始する予定。 サイクレストは独自の接合技術でウエハーを2層化し、低抵抗の多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶層を薄く貼り合わせたもの。基板全体の低抵抗化と通電劣化抑制効果を実現しつつ、低コストと両立させた。8インチ基板は顧客認定の取得に向け、サンプル出荷を始めた。 SiCは従来のシリコン製品に比べて高電圧に対応し、エネルギー損失も大幅に低減できるのが特徴。ハイブリッド車や電気自動車(EV)などの駆動制御装置に要求される大電流・高耐電圧の大容量領域で、装置全体の小型化やEVの航続距離向上に貢献する。