「広い北海道の距離の壁をなくしたい」住民の健康を守る出張医と“翼”北海道エアシステムが医師の搭乗料金無料「地域医療パスポート」導入で地方の医師不足解決へ支援
中標津病院ではことし2月、1人しかいなかった泌尿器科の医師が一身上の都合で退職。患者が受診できない事態に陥りました。 このままでは地域医療の崩壊を招きかねないと、「出張医」の派遣に名乗りを上げたのが、豊富町に「出張医」を派遣している札幌市の三樹会泌尿器科病院でした。
三樹会泌尿器科病院 佐藤嘉一 理事長 「マンパワーがそんなにないが、何とか広い北海道の距離の壁をなくしたい。われわれも北海道で最初の泌尿器科の専門病院としてつくられた病院ですから」 決して自身の病院の医師に余裕があるとは言えない中、支援に踏み切ることができたのは、ある会社が動き出したからでした。
札幌市の丘珠空港を拠点に、道内外9路線を持つ北海道エアシステムです。 中標津便の新規就航をきっかけに、中標津病院に向かう泌尿器科医の搭乗料金を何度でも無料にする「地域医療パスポート」の運用を4月から始めました。 北海道エアシステム 武村栄治 社長 「陸路で行くと6時間、離島は9時間が当たり前の世界を、1時間で結んでいるので、その時間価値を提供するのがわれわれの仕事だと思っている。北海道民の翼としてできることは地域になるべく入っていって、協力していく」 中標津病院では昨年度、経営に要した事業費はおよそ47億円。 当然、患者からの受診料では賄いきれず、マチから10億円以上の繰入金で補填している赤字経営が続きます。
この日、「地域医療パスポート」を利用して、中標津町に向かうのは「出張医」の安田満(やすだ・みつる)医師です。 出張医 安田満 医師 「日帰りでは診察時間が確保できない。出張という形で行かないとちょっと難しい。マイナー系と呼ばれる診療科だと、どうしても地方へ医師を派遣するのが難しくなってくるので」 安田医師の診療は2週間に1度。病院に到着したこの日の午後は34人もの予約がありました。昼食もとらずに、患者のカルテを読み込むほどです。 出張医 安田満 医師 「やはり限られた時間内にたくさんの患者をこなさなくてはならないので、あらかじめデータチェックをしておくとスムーズにできるので早めに来てやっている」 地域医療でうまれた支援の輪を北海道内全体に広げることがいま、求められています。
北海道放送(株)
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