羽田空港で日本酒の売上が急増 「より良いお酒を求める外国人が増えている」 1万円を超える高級酒に熱視線
羽田空港第3ターミナルで日本酒の売上が急増している。直近の販売実績はカテゴリー計でコロナ禍前の2倍以上と好調だ。なかでも1万円を超える高級酒のウエートが上昇。 羽田空港第1・第2ターミナルを建設、管理・運営する日本空港ビルデングのリテール営業グループ免税事業部免税事業課の松田健作主任は「日本酒は全般的に好調。10万円超の高級酒が売れることも珍しくない。海外で日本酒の認知が高まり、より良いお酒を求める外国人が増えている」と手応えを話す。
10万円超が想定2倍のスピードで完売
羽田空港の国際線を利用する外国人客数は4月が前年比134%、5月が同139%と拡大している。日本空港ビルデングが第3ターミナルで運営する総合免税売店「TIAT DUTY FREE SHOP CENTRAL」も連日大盛況。出国審査を通過した真正面に位置しており、お気に入りの品々を求める多くの来店客で賑わう。 酒類(和酒・洋酒)の売場は約70㎡で展開し、うち日本酒は約90品目をラインアップ。「獺祭」「久保田」「八海山」「吉乃川」「醸し人九平次」など国内外で認知度の高いブランドを中心に、空港限定の製品も多く取り扱う。店内には試飲機が置かれ、新商品や季節酒もアピールする。 目下のトレンドについて、松田氏は「プライスラインが上がってきた」ことを強調。「かつては3000~5000円が売れ筋だったが、最近は1万円以上の製品もよく売れる」とし、「日本酒に対する関心の高まりを感じる。輸出に注力するメーカーが世界中でプロモーションしてきたことや、付加価値の高い製品を市場に投入し続けたことで、日本酒の認知向上が進んでいるのでは」と話す。 具体的な事例では新潟・八海醸造の「八海山 百」を紹介。氷点下3度で6年間貯蔵したプレミアムな大吟醸酒で、定価10万円以上の高額品だが、1年間で販売予定だった数量が半年で完売したという。 岡山・宮下酒造の「MIYASHITA ESTATE Aji/Kaori」(免税価格9万9920円)も人気だ。雄町米を7%まで磨いた希少性と最上級の酒質が特長。「日本酒の原料米や精米歩合、製造方法に詳しい外国人が増えている。高額品でも価値を理解して買っていただける」(松田氏)。
また伝統的な日本酒蔵の製品のみならずドンペリニヨンの元醸造責任者が手がける「IWA5」、ペルノ・リカール・ジャパンが販売する「リンク8」などストーリー性の高いブランドも好評。 松田氏は「海外の方にとって免税売店は帰国前の最後のお買い物となる。日本でおいしいと思ったお酒の銘柄を見つけて購入し、自国でも楽しんでいただければうれしいこと。これからも外国人の期待に応えられる品揃えを目指していきたい。伝統的な日本酒の市場活性化に少しでも貢献できれば」と展望する。