サッカーを始めたきっかけは原爆だった… 戦争を乗り越えてつないだ思いを後輩へ ~広島・修道高校サッカー部~
聖地・国立を目指す戦いが今年も始まります。第103回全国高校サッカー選手権広島県大会の決勝トーナメントが10月20日から始まります。2024年の広島大会テーマは「つなぐ、思い」です。サッカーを通して各校のつながれてきた思いを紹介します。
2024年の広島県大会の決勝の舞台は、プロの試合も行われるスタジアム『エディオンピースウイング広島』です。多くの人の思いがつながってできた夢の器で迎える初の決勝。高校生のつながる思いを深堀りします。第1回目は、創部98年の歴史を誇る修道高校。戦争を乗り越えて歴史をつないできた先輩の思いに迫ります。
大正15年創部の修道高校サッカー部は、全国優勝経験もある広島県内屈指の伝統校です。今年、23年ぶりに決勝トーナメント進出を果たしました。 ■修道高校2年 近藤結人主将 「高校1年生と2年生しかいないんですけど、中学生からずっと一緒にやっているので、チームワークは他のチームよりいいかなと思っているので、そこを強みに頑張っています。素晴らしい先輩方の思いを背負って頑張りたいなって思っています。」
懸命にボールを追う生徒達を真剣なまなざしで見つめるのは、卒業生の下村幸男さん、92歳です。後輩たちの活躍に目を細めます。 ■卒業生 下村幸男さん 「戦後の人生の始まりも、ある意味サッカーみたいなもので。修道のこのグラウンドで、サッカーに出会ったことがすべてですね。」 母校の修道中学校は、戦前から県立広島一中(現・国泰寺高校)、広島高等師範附属中(現・広島大学附属高校)と共に、全国にサッカーの名門として、その名をとどろかせていました。
下村さんは、自動車メーカーのマツダの前身・東洋工業で、ゴールキーパーとして活躍しました。日本代表にも選ばれたほか、代表チームの監督を務めました。下村さんとサッカーの出会いのきっかけは「原爆」でした。79年前の8月6日。学徒動員に駆り出され、爆心地から1キロの地点で閃光を見ました。木陰にいたため、大きなけがはありませんでしたが、一緒にいた同級生の大半が、亡くなりました。13歳でした。 ■卒業生 下村幸男さん 「同級生に申し訳ないよね。自分で考えて生き残ったわけじゃない。たまたま、いろんな機会が巡りあって、助かっているんですけどね。」