日マレーシア首脳会談 中国念頭に安全保障、半導体での協力合意
石破茂首相は10日、訪問先のマレーシアでアンワル首相と約90分間会談した。両首脳は南シナ海で海洋進出を強める中国を念頭に、安全保障や半導体の安定供給などの協力を進めることで合意。日本が「同志国」の軍に装備品を提供する枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を通じ、救助艇を含む警戒監視用機材を供与することでも一致した。 マレーシアは今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務める。石破首相は会談後の共同記者発表で「日本外交にとってASEANとの連携強化が最優先課題の一つだ」と強調した。石破首相が就任後、国際会議を除いて、個別に外国を訪問したのは初めて。 会談冒頭、石破首相は「前回訪問した34年前と比べ、発展ぶりを拝見して驚くと同時に感動を覚えている。本年は世界が対立と分断に向かうか、あるいは協調へ向かい平和の再構築がなされるか、極めて重要な年だ」と述べた。 両首脳は安保分野の幹部級協議や戦略対話が急速に進展し、海上自衛隊とマレーシア海軍による共同訓練も始まったことを歓迎。サイバーセキュリティーや防災分野などで協力を深めることも確認した。 政府関係者によると、両首脳は今月20日にトランプ次期米政権が発足することを見据え、国際情勢の見通しについても議論。石破首相は「この地域への建設的な関与が、米国自身の国益にかなうことだ」と話したという。1期目のトランプ政権について、東南アジア軽視との指摘があることを踏まえたとみられる。 首相は10日午後に次の訪問先となるインドネシアへ向かい、11日に同国のプラボウォ大統領と会談する。【クアラルンプール金寿英】