「終戦の日」に考える平和と軍縮 北朝鮮の脅威が増す中で
「核体制見直し」進めるトランプ大統領
トランプ政権は成立以来、中露両国との協力を重視する姿勢を見せています。ただし、ロシアの関係ではいわゆる「ロシア疑惑」の問題があり、また中国との間では、南シナ海における国際法違反の行動の問題があり、関係改善は一直線に進展していません。 また、トランプ政権は、オバマ政権が軍縮を重視していたのと対照的に、軍事力を重視する姿勢を見せています。 トランプ大統領は、就任前、核兵器の使用を認めることを示唆する発言を行っており、過激派組織「イスラム国」(IS)が米国を攻撃してくれば、「核で反撃する」と発言したこともありました。さらに、日本が核武装するのを容認するかのような発言をしたこともありました。 トランプ政権は現在、「核体制見直し(NPR)」を進めており、年内に結論が出る予定です。オバマ前政権以来、7年ぶりの見直しで、報告が早まる可能性もあるそうです。これは新政権としての基本政策になるものであり、その内容が注目されます。トランプ氏の個人的な考えが強く反映されると軍備拡張競争を惹起する危険もあります。
保有国と非保有国で異なるスタンス
軍縮を進めるには不利な状況になっています。しかし、軍縮は一時の勢い、あるいは個人的な好みによって左右されてはなりません。米露の二大軍事国家も中長期的には核軍縮を進めなければならない考えであり、1972年のSALT I(第一次戦略兵器制限交渉)以来、戦略兵器の削減交渉を重ねてきており、もっとも最近の合意は2010年の「新START(新戦略兵器削減条約)でした。また、1987年には中距離の核戦力(INF)を全廃する条約を締結しました。 問題は、核軍縮の進め方、速度であり、それらについては核保有国と非保有国では考えが違っています。非保有国の中にも意見の違いがありますが、オーストリア、ノルウェー、メキシコなどの急進派は数年前から「核の非人道性」を確立する運動をはじめ、これには核保有国も徐々に参加し始めていました。さらに、核軍縮急進派は核兵器の禁止に転じ、さる7月7日、国連で「核兵器禁止条約」が採択されました。