大間原発差し止め訴訟費用、函館市の寄付金約3億円に ふるさと納税が増加
函館市は、市が係争中の大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟の費用に充てる寄付金とふるさと納税の総額が1万3196件、2億9588万8479円(今年3月末現在)に上ることを明らかにした。2017年度にふるさと納税のメニューに追加したことで寄付金は減った一方、税制控除が受けられるふるさと納税の件数、金額が増加。東京地裁への提訴から今年4月で10年たったが裁判の決着は見えておらず、市は引き続き賛同者を募っている。
市は14年4月、防災上の観点から大間原発建設の無期限停止を求めて国と事業者を相手取り提訴。市は「国や事業者が建設の同意を求めることも一切せず、市民の生命や財産が危険にさらされている」と主張。自治体が原告となり国に原発差し止めを求めた訴訟は初のケースで、全国的に注目を集めた。直近では、今年9月に第32回口頭弁論が行われた。 現金の持参や振り込みなどの寄付金は、訴訟が始まる前の13年度(67件、364万5180円)から市に寄せられており、提訴年の14年度が1088件、4580万5139円で最多。23年度は5件、3万6000円となった。 一方、ふるさと納税は、寄付金の活用方法について「市全体」「子どもたちの未来」「美しい景観を守る」「活気とにぎわいのあるまち」「福祉の充実」「大間原発の建設凍結」の6つから使い道を指定できる。訴訟への関心をもう一度高めたいと大間凍結を17年度からメニューに加え、17年度は1333件、3880万6064円だったのに対し、2020年度は最も多い2320件、3831万8000円に達した。23年度は1899件、3759万5000円だった。 訴訟費用の決算額をみると、弁護士費用や鑑定意見料、市民説明会開催経費などに計4198万6853円を充てた。 市は、集まった寄付金とふるさと納税での寄付をいったん市大間原発訴訟基金に積み立て、使う際に予算に繰り入れて運用している。 市総務課は「寄付金の件数、金額が落ち着いた中で、支援はお得感のあるふるさと納税にシフトしている。裁判が長期化しており、多くの支援に感謝したい」としている。
函館新聞デジタル