寛容性は割り切って、飛距離性能をとことん追求。尖った性能が魅力のコブラ「エアロジェット LS ドライバー」【ヘッドデータ分析で判明】
歴史の1ページに名を残す偉大なゴルファーが愛用していたコブラのドライバーだが、「2020年からさらに飛距離性能が良くなっている」とクラブ設計家の松尾好員氏は言う。 その要因として挙げられるのが、タイプやレベルの異なるそれぞれのゴルファーにフォーカスしたクラブ開発にある。 大きく分けると寛容性の高さ(芯を外しても打球が曲がらず、直進性が保たれる)を求めて大慣性モーメントヘッド設計に比重を置いた「やさしいモデル」と、低重心で重心深度が浅く、少ないスピン量で飛ばせる「飛距離に特化したモデル」の2つだ。 クラブの設計をする上で生じる矛盾を分析し、それぞれの特徴を最大限に強化したことでクラブの完成度が格段に上がった。 ここで「設計上の矛盾」について触れておくと、寛容性を求めたモデルはヘッドの慣性モーメントを大きくして打球の直進性を保つことができる反面、重心深度が深くなりフェース面の重心(スイートスポット)も高くなる。重心が高くなるとスピン量が増え、打球は吹き上がりやすくなるため飛距離ロスに繋がってしまう。 それに対して飛距離に特化したモデルはスピン量が抑えられ、吹き上がらずにキャリーを稼ぐことができる。重心深度が浅くなり、スイートスポットも低くなる。そうするとヘッドの慣性モーメントは小さくなり、寛容性が低くなる。 寛容性を求めることと、飛距離を求めることはクラブ設計の観点から水と油の関係と言えるわけだ。この矛盾を割り切り、それぞれのコンセプトに沿ったドライバー設計に力を注いだことで、コブラの言う「飛距離の壁を越える」テクノロジーが急速に確立してきたと言えるだろう。
寛容性を捨てた、尖った性能が魅力的
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートしてもらいます。 クラブの長さが45.25インチ(以下、すべて実測値)、クラブ重量も301.3グラムと共に「標準」です。スウィングウェイトがD4.7と「非常に大きい」ので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメント(基準値:282万~286万g・㎠)が294万g・㎠と「大きい」ものになっています。ドライバーのヘッドスピードが47m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっていると言えます。 「コブラのドライバー」と聞いて思い浮かべるのはヘッドの輪郭形状が三角形型のイメージですが、このLSモデルはエアロジェットの他の2モデル(エアロジェット、エアロジェットマックス)と比べて、縦長形状になっています。
【関連記事】
- “外ブラ御三家”の新作ドライバー。HS40m/s前後のアベレージゴルファーが打ちやすいのは「Qi10」、「G430MAX 10K」、「パラダイムAiスモーク」のどれ?【クラブ選びをクール解説!】
- PXG『Black Ops』のコンセプトは「飛距離を犠牲にしない高い寛容性」。開発者に直撃インタビュー!
- タイトリストの最新ウェッジフィッティングを体験! 半端ない精度のアプリでボブ・ボーケイがフィッティングしたのと同じ結果に
- 原英莉花の“三感”を満たすゴルフボール! ブリヂストンが新ボール『ツアーB X』、『ツアーB XS』を発表
- ティーショットやパッティングでターゲットが狙いやすくなる! ”線や柄入りボール”の選び方、使い方。成功率が上がる「アライメントボール」の合わせ方も紹介